米 イラン産原油を全面禁輸 中東情勢一層の不安定化懸念

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2019年5月2日 23時14分、NHK NEWS WEB

アメリカのトランプ政権は、イラン産の原油の輸入を禁止する制裁で、日本など一部の国を適用から外し輸入を認めてきた措置を、日本時間の2日午後をもって打ち切り、制裁を強化しました。イランが強く反発するのは必至で、中東の一層の不安定化につながることが懸念されます。

イラン核合意から離脱したアメリカのトランプ政権は去年11月、各国に対してイラン産の原油の輸入を禁止する、イランに対する制裁を発動させましたが、イラン産原油に依存してきた日本や中国など8つの国と地域については180日間適用から外し、輸入を認める措置を取ってきました。

しかし先月、適用除外の措置を延長しない方針を発表し、現地時間の2日午前0時(日本時間2日午後1時)をもって除外措置を打ち切り、制裁を強化しました。

トランプ政権は今後、各国の企業などがイランから原油を輸入すれば経済制裁の対象になるとして、輸入を完全に止めるよう迫っています。

アメリカとしては、イランの生命線とされる原油の輸出を断ち切ることで、イスラム体制の弱体化につなげるねらいですが、イランが強く反発するのは必至で、中東の一層の不安定化につながることが懸念されます。

除外措置が打ち切られるのに先立ち、イランのザンギャネ石油相は1日、「アメリカの試みは実現不可能な幻想にすぎない。原油を政治の道具にしようとする者は、その影響を覚悟すべきだ」と述べ、アメリカを強くけん制しています。

イラン産 輸入多いインド「米との話し合い続ける」
イランをめぐる制裁が強化されたことについて、イラン産の原油の輸入量が中国に次いで多いインドの外務省の報道官は「輸入をやめるかどうかは、経済状況などをみながら決めていく。アメリカとの話し合いは続ける」と述べ、当面、イラン産の原油の輸入を継続する考えを示しました。

インドは、イラク産などの原油への切り替えを進めていますが、依然としてイラン産の割合が多く、輸入を直ちに止めれば社会に深刻な影響が出るおそれが高いことから、当面はイラン産の原油を輸入しながら、制裁を科さないよう、アメリカと交渉していくとみられます。