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AI医療機器のアイリス、塩野義製薬と資本業務提携
2019年5月7日 16:49

人工知能(AI)医療機器を開発しているアイリス(東京・千代田、沖山翔社長)は塩野義製薬と資本業務提携した。塩野義製薬が12億円を出資し、アイリスの株式の約14%を取得。アイリスが開発しているインフルエンザ診断を支援するAI医療機器を対象に、将来のライセンス契約に関する優先交渉権を得た。

アイリスはベンチャーキャピタル(VC)のビヨンドネクストベンチャーズからの追加出資と合わせ、12億5000万円を第三者割当増資で調達した。

2017年設立のアイリスはAI技術を使ってインフルエンザの早期診断を支援する医療機器を開発している。インフルエンザが疑われる際に患者ののどを写真撮影し、インフルエンザ発症直後から出現する「インフルエンザ濾胞(ろほう)」と呼ばれる腫れ物の画像をAIが解析し、判定する。

塩野義製薬は中期経営計画で「世界を感染症の脅威から守る」ことを取り組むべき課題の一つにあげている。鼻の奥に綿棒を入れる従来のインフルエンザ検査と比べ、体への刺激が少なく早期に高精度で検査できるアイリスの技術に着目し、出資を決めた。

アイリスは調達資金を臨床試験(治験)の費用や医療機器の開発費用、品質管理、人材採用などに充てる。次のインフルエンザ流行期に申請に向けた治験を実施する予定だ。治験実施後に医療機器として申請し、2020年以降の実用化を目指している。

(佐藤史佳)