インタビュー全文

◆総理大臣役は初めてですね。

最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。
いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね。
でも監督やプロデューサーと
「僕がやるんだったらこの垂水総理大臣をどういうふうにアレンジできるか」
という話し合いをしながら引き受けました。
そしてこの映画での少し優柔不断な、どこかクジ運の悪さみたいなものを感じながらも最終的にはこの国の形を考える総理、
自分にとっても国にとっても民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理にしたいと思ったんです。

◆総理は漢方ドリンクの入った水筒を持ち歩いていますね。

彼はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。
だからトイレのシーンでは個室から出てきます。

◆劇中では名実ともに「総理」になっていく過程が描かれます。

これはある政治家の人から聞いたのですが、どんな人でも総理になると決まった瞬間に人が変わるっていうんです。
それぐらい背負っていくものに対する責任を感じ入る、人間というのはそういうものなんですね。

◆この映画からどのようなものを受け取ってもらいたいですか。

僕はいつも言うんだけど、日本は常に「戦後」でなければいけないんです。
戦争を起こしたという間違いは取り返しがつかない、だけど戦後であることは絶対に守っていかなきゃいけない。
それに近いニュアンスのことを劇中でも言わせてもらっていますが、そういうことだと僕は思うんです。
専守防衛とは一体どういうものなのか、日本という島国が、これから先も明確な意思を提示しながらどうやって生きていかなきゃいけないのかを、
ひとりひとりに考えていただきたいなと思います。