巽好幸
日本列島は雨が多い。たっぷりと水分を含んだ南風が吹き付ける高知県は降水量が年間3000mmを超え、日本トップクラスの"降雨県"だ。
ところが、お隣の香川県は日本有数の"少雨県"で、降水量は高知県の3分の1ほどしかない。
湿った南風が四国山地を越える際に水分を吐き出し、いわゆる「瀬戸内式気候」となるためだ。
さらに、香川県には大きな河川がない。
深刻な水不足に対処するため、満濃池など多くのため池が造られてきた。
この長年の課題を解決したのが、1981年に完成した総延長106kmの「香川用水」である。
「四国三郎」の異名を取る吉野川の治水対策を目的に築かれた池田ダムから、讃岐山脈をトンネルで抜け、讃岐平野に水を供給している。
ところが、大昔の香川県には大河が存在した。
当時はまだ讃岐山脈がなく、そのために「古吉野川」が瀬戸内海へと流れ込んでいた。
この壮大な河川流路の変更を引き起こしたのが「中央構造線」である。