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誰が新造資金を融資するのか?
捕鯨に関する国際機関IWC(国際捕鯨委員会)では、参加国の意見が二分していることから、商業捕鯨の再開が近づいているとは考えにくい。
このような状況下で捕鯨事業に民間金融機関が数百億円の融資を行なうことは考えられない。
その中で、唯一建造費用の貸し付けを行なう可能性があるのは、(財)海外漁業協力財団である。
この財団は、「海外の地域における水産業の開発、振興及び国際的な資源管理等に資する経済協力または技術協力を実施するとともに、
我が国海外 漁場及び漁船の安全操業の確保を図り、我が国漁業の安定的な発展に資することを目的としている」とし、技術協力などの他、貸付業務も行なっている。
しかし、近年の遠洋漁業の不振などにともない、年々その貸付先が減少し、平成16年度末の段階では916億円の貸付資金を保有しているにも関わらず、398億円しか貸し付けられていない。
しかし、平成24年(2012)までに新たに945億円を貸し付ける見込みとしている。
すでにこの財団が調査捕鯨に貸し付けを行なっていることや、あらたに今年作成されたな貸付ガイドラインにおいても、
「海産哺乳動物等の管理対象魚種に係る調査・研究」という基準が含まれていることからも、明らかに新たな大型の貸付案件を念頭においていると考えられる。
同財団は、グリーンピース・ジャパンの電話調査に関しては、「顧客情報なのでお答えできない」としている。
また1997年に、同財団は過大な事業見積もりを行い補助金を受け、その補助金約500億円をためこんでいたことが総務庁行政監察局に指摘されている。
その後削減されてきている補助金のさらなる削減を避けるために今回の日新丸のような巨大なプロジェクトへの融資を検討していることも考えられる。

誰が船を建造するのか?
グリーンピースは、2007年10月〜11月にかけて日本の主な造船会社へ捕鯨母船の建造に関するアンケート調査を行なった。
その回答の中で、捕鯨母船建造に対し、明確に「いいえ」と答えなかった企業は三菱重工業株式会社のみで「建造時期等を勘案し対応を考えます」と回答した。
その他数社が回答を拒否しているが大手造船会社はすべて「いいえ」と回答している。
次ページにその調査結果の一覧表を添付した。

捕鯨母船の新造は白紙に
捕鯨母船の新造に関して、水産庁や共同船舶株式会社はまだ公式には発表していない。
そのため、この新造計画が本格的に動き出したのかどうかは不明である。
ただ、もし新造計画が進んでいるとしたら、すべてを決定する前にその情報を一般に公表し、その必要性の是非についての検討プロセスが一般にもわかるようにすべきである。
グリーンピースは、捕鯨母船の新造がさらなる国際摩擦を生み出し捕鯨問題の解決から遠ざかること、国際的な海洋保護への取り組みが遅れることを懸念し、捕鯨母船の新造は中止するべきだと考える。