https://jp.techcrunch.com/2019/05/24/2019-05-23-ezra-launches-full-body-cancer-screens/
 Ezraが6カ月ほど前に事業を開始したとき、同社は男性の前立腺ガンを調べるためにMRI(磁気共鳴画像)の装置を使っていた。
しかし共同創業者のEmi Gal(エミ・ガル)氏はさらに大きなゴールを描いていた。
「ガンに関する最も大きな問題の一つは、体の全部位のガンをスキャンするための正確で早く、そして痛みを伴わない方法がないことだ」
と設立当時にガル氏は語っていた。

そしていま、彼は解決策に近づきつつある。
往々にしてかなりの副作用を伴うことがある痛い生検を受けなければならない代わりに、ガル氏のソフトウェアは、男性の11種のガン、
女性においては13種のガン(女性の方がガン化するかもしれない器官を多く有している)を調べるための全身MRIスキャンのコストを大幅に下げることができる。
スキャンの所要時間は約1時間で、全身MRIスキャンが5000〜1万ドルするのに対しEzraではたったの1950ドルだ。

それでも全額手出しの人にとってはかなりの額だ。保険会社はまだEzraの検査費用はカバーしていない。
Ezraは現在、保険会社数社と話し合いを進めていて2019年第4四半期と2020年第1四半期にいくつかのパイロット事業を行う予定だ。
ガル氏が言うには、ゴールは保険会社にカバーされるようになることだ。

患者にとって早期にガンスクリーニングを受けることがいかに重要かは、いくら誇張してもし過ぎることはない。
米国ガン協会は2019年に米国で新たに170万人がガンと診断されると推定している。そのうち60万人が余命いくばくもないと診断される。
ガン患者のおおむね半分がかなり進行してからがんがわかり、ステージが進んだガン患者で5年以上生きられる人は10人に2人しかいない。

それが患者とその家族にとってどんなものかは、ガル氏は十分すぎるほど知っている。
初の会社を20代で興し、30代で売却したこの起業家は故郷のルーマニア・ブカレストにあるホスピスでボランティアをした。
そしてガンを初期に見つけられる検査を見つけようと決心した。
ガル氏は、米国立衛生研究所からの患者データ、そして追加で患者150人のガン検査を使って、昨年からEzraのがんスクリーニングツールキットに取り組み始めた。

Ezraは当初、前立腺ガン検査のみで市場に参入した。
この検査では、所要時間20分に短縮されたMRIスキャンで得られた画像を診断するのに機械学習を活用した。
Gal氏の会社が使っているMRI検査はすべてFDA承認のものだが、同社が開発した機械学習アルゴリズムについてはまだ承認を得ていない。

Ezraはさまざまな種類のガンを検査できる一方で、診断は提供していない。診断は医師が行い、そして追加のテストを要する。
「我々はMRIを診断テストからスクリーニングテストに変えている」とガル氏は話す。

「我々がやったことといえば、スクリーニングに不必要なことを取り除き、肝臓のスキャンを15分でできるようにし、そしてトータルの検査時間を1時間にした」
とガル氏は語る。

テストを行うための自前のMRI装置ネットワークを構築するのではなく、EzraはMRI設備ネットワークのRadNetと提携を結んだ。
Ezraはまた、ガンと診断された患者が適切な治療を模索するのを手伝う、診断後のコンサルテーションも提供している。
現在のところニューヨークにある9つのセンターでサービスを展開していて、今年後半にはサンフランシスコとロサンゼルスに拡大したい意向だ。

早期のガンスクリーニングに対するガル氏のビジョンは投資家の関心をひきつけ、 Founders Future、Credo Ventures、Seedcamp、Esther Dyson、
そしてSoundCloudの共同創業者Alex Ljung氏を含むエンジェル投資家から400万ドルを調達した。
究極的にはEzraの成功は、コンシューマーが直結払うコストを下げられるか、または保険会社が保険を適用する診断ツールになるかどうかにかかっている。

「ゆくゆくは、我々のゴールはさらにコストを下げるために器官ごとにそれぞれのAIを構築することとなる」とガル氏は話している。