自由訪問、墓参で「Wi―Fi」使えず ビザなし渡航船
内閣府「要望なかった」 元島民「しゃくし定規」

 北方四島ビザなし渡航のチャーター船「えとぴりか」に新たに整備された
公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」の利用を巡り、元島民らから
不満の声が上がっている。利用がビザなし交流に限られ、元島民らの自由訪問や
北方領土墓参は対象外となっているためだ。内閣府は、関係者からの要望が
なかったのが理由とした上で、今後利用拡大を検討する構えだが、
「お役所仕事」との批判が出ている。

 Wi―Fi整備は、船内でネット接続を可能にし、参加者に会員制交流サイト
(SNS)などで島の様子を発信してもらうことで領土問題の啓発につなげるのが
狙い。10〜13日に国後島を訪れたビザなし交流から運用を始めたが、
17〜20日の択捉島への自由訪問では利用できなかった。

 自由訪問に参加した択捉島の元島民3世で根室市の会社役員浜屋雄太さん(28)は、
美しい島の風景や夕日を船内から発信しようと楽しみにしていたが、かなわなかった。
「チャットやメールができない環境では仕事に支障もきたしかねない」として、
働いている人が多い2世、3世の参加を促すためにも利用を認めてほしいと訴える。


北海道新聞(05/26 10:24 更新)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/308834