交差点内の事故は大惨事につながることがある。

大津市で保育園児ら16人が死傷した事故は記憶に新しい。
しかし、全国各地には「茨城ダッシュ」「伊予の早曲がり」などと呼ばれる危険な“ご当地ルール”があるらしい。
このうち、長野県松本市にあるのは「松本走り」。
10年以上前から指摘されているもののいまだに続いており、市や地元警察署などでは、運転マナーを再確認してほしいとしている。

右折優先?

松本走り、別名「松本ルール」は、具体的に(1)対向の直進車が交差点に接近しているのに、
強引に右折する(2)左折する対向車にかぶせるように右折する(3)信号が青色に切り替わった直後、対向車が発進する前に右折する−行為。

道路交通法は、交差点内では直進または左折車優先と規定。
松本走りは明確な法律違反になるばかりでなく、悲惨な事故につながりかねない危うさをはらんでいる。

大津市で8日に起きた16人死傷事故も、交差点を右折した乗用車と対向から直進してきた軽乗用車が衝突、そのまま軽乗用車が信号待ちしていた園児らに突っ込んだものだった。

なぜか減らない

松本走りが広く認知されるようになったのは、JAFの広報誌「JAF Mate」が平成20年に特集で取り上げたことがきっかけのひとつ。

市や県警は啓発に努めてきたが、26年以降に松本市で発生した右折時の事故件数をみても、
26年は98件、27年が70件、28年87件、29年89件と増減に波があり、減少傾向をたどっていないのが実情だ。

こうした行為が蔓延(まんえん)した背景には、城下町のため狭い路地が多く、市街地が日常的に渋滞している事情があるとされる。

松本市の菅谷昭市長は13日の記者会見で、「松本走りが根付いているのなら残念なことで、直していかなければならない」と述べ、ドライバーに運転マナーの再確認を促した。

広報誌で特集も

松本走りをめぐってはすでに、市が今年3月号の広報誌で注意喚起する特集を2ページにわたり組んでいる。
特集では、「県外の方から『危険な運転』『マナーが悪い』と指摘されています」と、運転マナーを順守すべきだと指摘した。

その上で、「お互いに道をゆずりあう親切な運転が大切です」と促し、実際に心がけてほしいマナーを列記している。

市や松本警察署などはこれまでも年4回の交通安全運動期間などには、運転マナーの向上などを目指し広報・啓発活動に取り組んでおり、
バスやタクシーなどのボディーに「思いやり ゆずりあい運転の街 松本」とのスローガンが書かれたステッカーを貼るなどしてきた。

市交通安全・都市交通課は「松本市の全てのドライバーがマナーを軽んじているのではない」と強調する。
ただ、松本走りで指摘されるような運転をしている一部のドライバーには、マナーの順守を強く求めたいとしている。

http://news.livedoor.com/article/detail/16524291/

2019年5月27日 15時41分 産経新聞