死亡した女の子やけがをした子どもたちが通う川崎市のカリタス小学校は午後6時半前から記者会見を開き、小学校を運営するカリタス学園の齋藤哲郎理事長は「全く落ち度のない子どもたちと、愛情深く育てていた保護者の方がこうした被害にあい、やり場のない怒りを感じ、痛恨の極みです。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、けがをされた方々の一日も早い回復を祈り、ご家族の皆様の痛みに寄り添いながら乗り切っていきたい」と述べました。

■校長「子どもたちの心のケアを」
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■無言で児童に刃物を振りながらスクールバスの乗り場に…

川崎市のカリタス小学校の記者会見では事件当時、子どもたちをスクールバスに誘導するために現場にいた倭文覚(しとり・さとる)教頭が当時の詳しい状況を説明しました。

それによりますと、28日は登戸駅から学校に子どもを送るスクールバスを8本運行することになっていて、6本目のバスに子どもたちを乗せた時に事件が起きたということです。

この時の状況について、教頭は「5番目のバスを学校に送り、次の6番目のバスがバス停に到着した時、私は子どもたちの列の先頭におりまして、そこから6人ほどの児童をバスに乗せたとき、列の後方で子どもたちの叫び声が聞こえてきました。私の位置からだと、様子が見えないので、一度、車道に出て、列の後方に移動しました。その時、私の目の前に犯人が両手に長い包丁らしき物を持って、無言で児童に刃物を振りながら、スクールバスの乗り場のほうに走って行く姿を確認しました」と語りました。

教頭は刃物を持った男が子どもたちを襲う場面を見ていなかったということですが、当時の様子については「彼は何か話しをするでも無く、叫び声を上げたり、怒鳴り散らしたりもせず、無言でした。だから子どもたちも気が付きませんでした。子どもたちは後ろから走りながら切りつけてきている犯人が視界に入っていませんでした。『きゃー』という叫び声で、それぞれで振り向いたりした、そこを犯人は切りつけていったんだと思います」と説明しました。

また子どもたちが被害を受けたあとの対応については「私は『犯人よりも子どもたちのほうに』と思って携帯電話で110番をしながら子どもたちの傷の様子、被害の状況を確認しながら、列の後方に向かっていきました。ちょうど午前7時45分、警察にパトカーや救急車の手配と現場の状況を説明しました。その後、7時51分に学校に同じく携帯で一報をいれました。泣いている子どもとけがをしている子どもが複数いたので、けがをしていない子どもたちをスクールバスに乗せようと『元気な子は先生についてきなさい』といって、歩ける子どもたち、けがをしていない子どもたち20人ほどいたと思いますが、全員スクールバスに誘導しました。またコンビニが近くにあり、そこにも複数の本校の児童が逃げていました。店の奥のほうに、けがをしている児童が5人、それ以外にその3倍ぐらいの児童がコンビニの中に逃げていました。私はけがをしている子どもを見ながら、いちばん重傷かなと私が思った児童のところにそのままいて救急隊の到着を待ちました」と冷静に説明しました。

一方、記者会見の前の午後5時から行われた臨時の保護者会でも教頭は事件の当時の状況を説明し、この中で「一緒にいたのに何もできず、何をやっているんだと思われることと思う。そばにいたのに、止めることができなかったことに申し訳なく、何もできない自分に腹が立ちます」と心情を明らかにしました。

■亡くなった児童について
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■犯人は叫び声を上げるでも怒鳴り散らすでもなく」

倭文教頭は、報道陣から当時の状況についてさらに詳しく尋ねられたのに対して、子どもたちは2列になって並んでいたところを犯人は道路側から無言で、襲ってきたと説明しました。

その中で、「犯人は叫び声を上げるでも怒鳴り散らすでもなく、無言でした。子どもたちはスクールバスのほうを見ているので、後ろから切りつけてくる犯人は視界に入らなかったのだろうと思います。『痛い』などと叫び声があがり子どもたちが振り向いたところを、犯人が切りつけていったのだと思う。大声をあげてやってきたら子どもたちも逃げることができたと思うが、無言で切りつけてきたので、大勢の子どもたちが被害にあったのだと思う」と話しました。

2019年5月28日 18時42分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190528/k10011932781000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
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