0001ごまカンパチ ★
2019/06/04(火) 02:36:05.07ID:7+hhiwLN9■炭素と地球深部の岩石とともに高温高圧で煮込んで検証
オーストラリア、マッコーリー大学の博士課程の学生だったマイケル・フェルスター氏は意気消沈していた。
実験室で雲母(うんも:薄く剥がれる性質をもつ、キラキラと輝く鉱物)を作り出そうと何カ月間も格闘していたが、なかなか成果が出なかったからだ。
しかし、指導教官に相談すると、困惑はみるみるうちに歓喜に変わった。別のキラキラした鉱物の謎めいた起源を説明できたのだ。そう、ダイヤモンドである。
ダイヤモンドはなぜか結晶の中に、アルカリの塩水を含んでいることが多い。
この「流体包有物」は、長らく科学者たちを悩ませてきた。5月29日付けの学術誌「Science Advances」に発表された論文によると、ダイヤモンドの中の塩水は、
大昔の海の底にあった堆積物のタイムカプセルなのだという。
地球の表面には、プレートどうしが出会って一方が他方の下に潜り込む「沈み込み帯」という場所がある。海底の堆積物も、ここで地球深部へと引き込まれる。
今回の研究では、地下100kmから200kmの間で、地中に引き込まれた海底の堆積物と地球深部の岩石が、高温でぐつぐつと煮込まれる複雑な反応が再現された。
そして、反応の鍵は海底堆積物にあるらしい。
「すっかり興奮してしまいました」と、現在はマッコーリー大学の博士研究員であるフェルスター氏は言う。
「それがどんなに特別なことなのか、理解したからです」
カナダ、アルバータ大学のダイヤモンド地質学者であるトーマス・スタヘル氏は、数十億年前に、生まれたばかりの高温の地球で形成された
もっと古いダイヤモンドには、この機構は当てはまらないかもしれないと言う。
けれども、より新しいダイヤモンドについては、「非常に良い、興味深い説明」になるだろうと評価する。
「これが最終的な結論になるかはわかりませんが、彼らは堆積物を溶かして、ダイヤモンドの流体包有物と非常によく一致するものを作り出したのです」
典型的には、ダイヤモンドは地下150km前後の「クラトン(大陸を下から支える、古くて堅いマントル)の根」と呼ばれる場所で結晶化する。
人類がこれまでに掘った穴は最も深いものでも12km程度だ。そんなに深い場所で起こることは直接調べられない。
私たちがダイヤモンドを入手できるのは、火山の噴火の際に、マグマとともに地下深くから表面付近に上がってくるからだ。
しかし、ダイヤモンドが形成される厳密な条件は長らく謎のままだった。
なかでも興味深い問題は、多くのダイヤモンドの内部に、流体包有物が捕獲された経緯だ。
この流体は、ナトリウム塩に対して異常に多くのカリウム塩を含んでいるが、このような比率は地球深部では通常見られない。
2015年に学術誌「ネイチャー」に発表された研究では、この塩水が、古代の海水の名残であることを示唆していた。
塩水は地殻の鉱物に捕獲され、地中に引き込まれた後に、岩石から解放されたという。
けれどもこれではまだ、ダイヤモンドに閉じ込められた塩水の過剰なカリウムを説明できない、とフェルスター氏は言う。
■カプセルの中の地球
今回、研究チームは小さなプラチナ製のカプセルの中で地球の深部を再現した。
彼らはブリキ缶の形をした容器の中にまず炭素を敷き詰め、続いて、国際深海科学掘削計画で採取された海底の堆積物の粉と、
カンラン岩(ダイヤモンドが形成される上部マントルに多い岩石)の粉を層にして詰めた。
次にピストンシリンダーを使って小さなカプセルを圧縮し、ダイヤモンドが形成される6ギガパスカル
(フェルスター氏の言葉を借りれば、「あなたの足の上にビルを1棟載せたぐらい」)の圧力をかけた。
最後に、電気を使ってカプセルを1100℃まで加熱して、2〜14日間反応させた。
研究者らがこの反応の結果を調べたところ、ダイヤモンドの流体包有物と同様、塩水のカリウム塩の割合が異常に高かったうえ、
それとは別に、ナトリウムを豊富に含む「単斜輝石」という鉱物が形成されていることがわかった。
「単斜輝石にナトリウムが吸収されていたのです」とスタヘル氏は説明する。
地中深部でも同じ反応が起こり、ダイヤモンドの流体包有物のカリウム塩が極端に濃くなったのかもしれない。
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