児童ら20人が死傷した川崎市多摩区の事件では、直後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)に対する「子供を巻き込まず、死ぬなら1人で死ねばいい」という批判に対し、「事件や自殺を招く」と懸念する声が上がり、インターネットなどで論争となった。1日には元農林水産事務次官の息子殺害事件が発生し、議論は混迷している。

ネットやテレビで相次いだ「1人で死ね」論に異を唱えたのは、NPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事。突き放す表現が「社会は何もしてくれないという想いを募らせる」とし、自殺や次の凶行を起こしかねないと問題提起した。

この意見への賛否両論が相次ぐ中、元次官の事件が発生した。逮捕された元次官は、川崎市の事件を念頭に「息子が周囲に危害を加えると思った」と心情を供述した。

藤田氏は「『1人で死ぬべき』が責任感の強い元次官を追い詰めたと思う」とツイート。ネット上では元次官に同情する意見も多いが、これに対し「殺されても仕方ないと言いたいのか」などと危うさを指摘する声も上がった。

碓井真史新潟青陵大大学院教授(社会心理学)は「客観的に元次官が切迫した状況にあったとは思いづらい。事件の衝撃が『1人で死なせよう』という誤った義務感の引き金になった可能性は高い」と分析。「安易に肯定したり美化したりすれば、同様に悩む人を『そうしないと』と追い込み、悲劇の連鎖を生む恐れもある」と警告する。

「意見の是非より、次の事件が起きたこと自体が問題」と嘆くのはKHJ全国ひきこもり家族会連合会の上田理香事務局長。両事件後、会への相談は倍増したといい、「引きこもりが犯罪予備軍のような偏見がより強まる。本人や家族は一層追い込まれた」と危惧する。
 
その上で「引きこもりが事件を起こすのではない。背景は問題を長期間抱え込んでしまったストレスや虚無感だ」と強調。「必要なのは、孤立し、誰にも相談できない状態を防ぐ『1人で死なせない』優しさだ」と訴えた。

2019年06月04日13時09分 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019060400179&;g=soc

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