https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45860200Y9A600C1000000

アマゾンの米国内空輸、フェデックスが契約更新せず
2019年6月8日 5:12

【ニューヨーク=河内真帆、シリコンバレー=白石武志】米フェデックスは7日、米国内の航空貨物輸送に関してアマゾン・ドット・コムとの契約を更新しないと発表した。貨物機で迅速に配達するサービスの受託は6月30日で終了する。国際貨物や通常の宅配サービスは続ける。アマゾンは貨物機も含めた自前の輸送網の構築を急いでおり、物流大手の選別を強めている。

フェデックスの売上高に占めるアマゾン向けの比率は2018年12月期通期で1.3%にとどまる。フェデックスは米国のネット通販による配送需要が26年までに1日あたり5千万〜1億個に達すると予測している。同社はすでに数千社の小売業やネット通販会社と提携して配送網を確立しているとし、今回の契約更新見送りは「より広範なネット通販会社にサービスを提供するための戦略的な決定」と説明した。

一方、アマゾンは米証券当局への提出資料の中で、自社のリスク要因の1つとして「限られた数の物流企業に頼っていること」を挙げている。米UPSや米郵政公社(USPS)、フェデックスを指しているとみられ、こうした物流企業と許容できる条件で取引できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があると説明している。

アマゾンでは物流大手への依存度を下げるために米国の都市間で自前の貨物機の運航を始めており、米ケンタッキー州の空港では2021年の稼働を目指し新たな物流ハブ(拠点)を建設中だ。アマゾンが輸送用車両や制服を支給して運送事業者の起業を支援するプログラムなども用意し、宅配分野でも自前の物流網の構築を急いでいる。

アマゾンはネット通販分野に力を入れる米ウォルマートなどを突き放そうと、米国では翌日配送サービス地域の拡大に取り組んでいる。今月5日には米ラスベガスで開いた自社イベントでドローン(小型無人機)を使った配送を近く始める計画を示すなど、物流分野のイノベーション(技術革新)も自ら主導する構えを見せている。