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香港デモ、対立激化も 司法の独立「中国化」で危うく
2019年6月11日 0:58

【香港=木原雄士】香港で拘束した容疑者を中国本土に引き渡す「逃亡犯条例」改正案を巡り混乱が広がっている。香港の民主派団体が呼びかけた9日のデモには主催者発表で過去最大規模の103万人(警察発表は24万人)が参加した。中国政府は10日、外国勢力が干渉したとデモを強く批判した。香港政府も予定通り改正する姿勢を崩さず、民主派との対立が激化する可能性もある。

1997年の中国返還後のデモとしては2003年の国家安全条例反対デモ(約50万人)、14年の雨傘運動(最大約10万人)を上回った。かつてない規模に拡大したのは中国共産党に批判的な民主派だけでなく、経済界など親中的な立場を取る人々にも懸念が広がっているためだ。立教大の倉田徹教授は「根底には中国の司法制度への不信感がある」と話す。

香港は高度な自治を保障する「一国二制度」の下で英国流の司法システムを維持してきた。一方、中国は裁判所や検察も共産党の指導を受けており、司法制度は透明性に欠ける。香港政府は引き渡しの対象から経済犯罪を外すなど2度にわたり原案を修正したが、民主活動家や中国事業でトラブルを抱える人が香港で容疑をでっち上げられ、中国本土への引き渡しの対象になるとの不信感が消えない。
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