※夜の政治
インタビューに答える山本太郎参院議員=東京都千代田区の参院議員会館で2019年6月7日
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 どうにも気になる。参院議員、山本太郎さん(44)。6年前、芸能界からひとり国政に飛び込んで脚光を浴び、参院選の今年、またもひとりで政治団体「れいわ新選組」を設立した。妙な存在感。衆参同日選論もいまだにくすぶり、風雲急を告げる幕末ならぬ令和の永田町で、台風の目になれるか?【吉井理記/統合デジタル取材センター】

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 1998年に出した太郎さん初の著書「母ちゃんごめん普通に生きられなくて」。今となっては意味深なタイトルも気になるが、その中にこんなエピソードがある。小学生のころ。将来の夢を問われ、大まじめに「総理大臣になる」と答えたら、校長先生に冷笑された、と憤慨していた。表紙では太郎さん、バレリーナにふんしている。なかなかのインパクトである。

 さらにアイドル雑誌「明星」の91年7月号。当時は高校2年、いや留年して、つまりダブって1年生。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の一コーナー「ダンス甲子園」で人気を博していたころだ。グラビアに登場し、こんなことをほえていた。「ダブりの学級委員は政治家を目指すんじゃ!」

 「いやあ、そんなことがありましたか。懐かしいな。まあガキのころの話ですが。でも実際、僕は大人になって政治家で、今の目標は総理大臣ですし……」

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 例えば消費税である。太郎さんは消費税そのものの「廃止」が持論だが、「もし野党がまずは『5%への減税』を参院選の共通政策にするのなら、『れいわ新選組』という自分の『旗』は下ろします」との主張である。

 消費の拡大やデフレ対策だけではない。もし、安倍政権が秋の消費増税の「延期」を表明したら、野党の立てられる旗は、一体何が残るのか。ならば、与党より先に、延期を飛び越え、野党がまとまって「減税」を主張しなければ、安倍政権との違いは際立たないし、これまでの選挙同様、与党の牙城を崩すのはおぼつかない。ならば、まず「新選組」が一石を投じよう、ということである。

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■あの自民党議員に励まされ

 こんな秘話がある。

 国会質問で安倍晋三首相を鋭く追及し、牛歩まで繰り出して、自民党全体と戦っているかのような太郎さん、あの自民党議員に何くれとなく気にかけられていたらしい。

 「昨年末に亡くなった鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)元防災担当相です。参院内閣委でご一緒して。ある時、東日本大震災の住宅問題などをただしたら、鴻池さんに『ええ質問やった。国会議員みんなで考えなアカンことや』と声をかけてもらって。『もしもろくでもない質問しよったら、ずっとヤジ飛ばしたろか、と思ってた』とも。それからですね、食事に誘ってもらったり、お酒を飲んだり……」

 君と2人でいてたらヤバイ、週刊誌に写真撮られたらえらいことになるで、なんてジョークも添えて。

■鴻池さんはつぶやいた

 亡くなる1年半ほど前、「共謀罪」法の審議がヤマ場を迎えた17年初夏のころ。参院の分館で、1人ぽつん、と座っている鴻池さんに会った。

 「体調もよくなさそうで、『早く元気になってまた飲みに行きましょう』と声を掛けた。話は『共謀罪』法案に流れてね。鴻池さん、つぶやいていた。『野党、あまりに静か過ぎるやろ』と。鴻池さんなりにあの法案は問題だ、と考えていたのでしょう。なのに審議はスムーズに進んでいく。野党はもっと体を張って頑張らんか、と。その姿が目に焼き付いています」

 女性問題や失言が批判されることも多かった鴻池さん、太郎さんの「新選組」結成の引き金を引いていた、と見るのはちょっと持ち上げ過ぎか。

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■間もなく初陣 寄付は目標を超えた

 草の根レベルで確実に人々の心に刺さってきている、ということか。実際、既成政党と違って政党交付金もない「新選組」、寄付金を募ると、4月の旗揚げ時から2カ月で、当面の目標としていた1億円を超え、1億8000万円超になった。反原発活動を通じて交流のあった北朝鮮による拉致被害者の兄・蓮池透さん(64)の擁立を決め、さらに著名人を含む数人の立候補を調整中だ。

 「芸能界にいたほうが、よほど収入はいいんです。仕事もはるかにハードだし、母親からは『早く辞めなさい』と言われ続けていますがね。でも芸能界で20年、何も考えず生きてきて、こんな世の中にしてしまった責任は自分にもある。罪滅ぼしじゃないが、燃えるものがある限り、とことんやり抜きます」(続きはソース)

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