“災害の記録示す” 新地図記号の掲載始まる
NHK NEWS WEB 2019年6月19日 14時31分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20190619/k10011959921000.
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190619/K10011959921_1906191415_1906191432_01_03.jpg

各地で発生した災害の記録を石に刻むなどして残す伝承碑。
過去の災害の教訓を多くの人に知ってもらおうと、新しい地図記号「自然災害伝承碑」が制定され、19日から国土地理院のウェブ上の地図で掲載が始まりました。

国土地理院が新たに掲載を始めたのは、過去に起きた災害を伝える石碑や記念碑を示す地図記号、
「自然災害伝承碑」です。13年ぶりの新しい地図記号で、だ円形の石碑をモチーフにしています。

去年7月の西日本豪雨で大きな被害が出た広島県坂町では、44人が亡くなった100年以上前の
明治40年の大水害を伝える石碑が建っていたものの、地域の間で災害の記憶は薄れていました。

これを受け国土地理院は、過去の災害を広く知ってもらおうと、
ことし3月、新たな地図記号「自然災害伝承碑」を制定し、全国の自治体から災害の石碑などの情報を募集していました。

その結果、48の自治体から158の情報が集まり、19日午前9時に国土地理院のウェブ上の地図、「地理院地図」に掲載されました。

地理院地図では、新たに制定された地図記号をクリックすると、
「地震」「洪水」「火山災害」などといった種別とともに、伝承碑が建てられた年や内容を写真とともに見ることができます。

国土地理院では、今後も自治体から伝承碑の情報を集めたいとしていて、確認が取れたものから、ウェブ上の「地理院地図」や、
日本の国土を示す最も基本的な地図、2万5000分の1地図に反映させることにしています。

国土地理院の諏訪部順環境地理情報企画官は
「日本では、地形的に同じ災害が繰り返されることが多い。過去の教訓を知ることで、今後の防災や避難行動につなげるきっかけにしてもらいたい」と話していました。

◆「多摩川決壊の碑」
掲載が始まった「自然災害伝承碑」は、北日本から南は沖縄に至るまで全国各地の広い範囲におよびます。

関東では大正12年の関東大震災や、昭和22年に接近し、広い範囲で洪水の被害を出した「カスリーン台風」など、
各地の災害について記した石碑など、合わせて18つが掲載されました。

東京・狛江市では昭和49年に発生した水害を記した「多摩川決壊の碑」が掲載されました。
台風などで降り続いた雨によって多摩川の堤防が決壊し、堤防沿いに建っていた狛江市の民家19棟が次々と流されました。

首都圏の住宅街で起きたこの水害の様子は、テレビでリアルタイムで報じられるなど大きな注目を集めました。

堤防の近くには「多摩川決壊の碑」には水害に至った経緯や、その後、河川管理をめぐって行われた住民と国との裁判について記されていて、
「ここに水害の恐ろしさを後世に伝えるとともに、治水の重要性を銘記する」ということばで結ばれています。

近くに住む85歳の男性は「当時、横浜で働いていて会社から帰れなくなった。強烈な記憶として残っているが、若い住人も増えて、
堤防そばに住む人たち以外は覚えていないのではないか。風化を防ぐためにも記録として残していくことは大切だと思う」と話していました。

〜以下ソースで〜