学期末、学校から受け取る通知表の結果に一喜一憂する子どもたちは多い。しかし不登校の子どもの場合は事情が異なるらしい。「学校から定期考査を受けても『20%以上教室での授業に出席して初めて1を付けられる』と言われた」。中学3年の長男が評定のない通知表をもらった福岡県の女性(41)から特命取材班に困惑の声が届いた。不登校の児童生徒の成績評価はどうなっているのか。

 長男は2年生だった昨秋、体調不良で突然学校に行けなくなった。本人も原因は分からず、さまざまな診療科でも異常は見つからなかった。その後も休みがちで、体調の良い日は登校できたが同級生のいる教室には戻れず、行き先は相談室だった。

 それでも教師の「テストだけは来てください」との勧めに従って、技能教科を除く教科の定期考査は受けた。もともと成績優秀だったこともあり7〜9割は得点した。通知表の評定は欠席しがちになった2学期は1学期より下がり、3学期は全て「/(斜線)」。学校側は「評価はない」と伝えてきたという。

 長男には公立高校への進学の意思があり、女性は今月中旬、入試の合否を左右する内申点について学校側に尋ねた。返ってきた答えは「定期考査の得点に関係なく、授業への出席が20%以上で初めて評価できる」。その上で「公立高校は中学校生活の頑張りを見る。受けるのは自由だが、例えばオール1の内申点で合格できる公立高はない」と告げられたという。

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 文部科学省の見方は少し異なる。同省児童生徒課は「出席率が必ずしも評価の要件になるわけではない。最終的には学校長の判断だ」と説明。福岡県教育委員会の担当者も取材に「評価は出席日数が全てではない。学習指導要領に基づく内容にどれだけ到達しているかを各学校が判断している」とした。

 各教科の評定は、教科ごとに関心や意欲といった「観点別評価」の総合で決められる。教師が授業を受けない生徒を評価するのは難しいが、近年は自宅学習やフリースクール、別室登校でも、それぞれで取り組むテスト結果や学ぶ姿勢などを積極的に評価する傾向にある。福岡県のある中学校長も「外部テストで好成績を収め、専門書を読み込むような不登校の子の理数系教科で『5』を付けたことはある」と打ち明ける。

 ただ、教育現場は客観性や公平性を強く意識しており、こうした事例はごく一部だ。文科省の担当者は「毎日登校している生徒と整合性を図る必要はある。不登校の子にも授業内容に沿ったプリントを配って提出を求めるなど肯定的に評価するための工夫が求められる」と言う。

 進路を決める時期も近くなり、長男は定期考査を全教科受けるなど懸命に学校へ通っている。女性は「普通の子とは違うし評価に差が出るのも仕方がない。それでも不登校の子の頑張りにも配慮してほしい」。教師の説明を長男にはまだ伝えられないでいる。

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