アメリカの高額な「医療費」はどこに使われているのか?
時たま、アメリカの病院に入院したことがある経験者が、その素晴らしさを語る事がある。
あるいは研修等で赴任した医師が、その高度の医療を絶賛する記事を書くことがある。
曰く「医師はもちろん看護師も他のコメディカルも充実しており、丁寧な説明と高度な
技術は日本とは比較にならない」「36時間勤務の医師など存在しない」
「さすが医療先進国。日本はずいぶん遅れている」と。
彼らはもちろん自分で医療費を負担していない。

アメリカの「医療費」の多くの部分が日本で言う「医療費」とは違う所へ使われる。
オバマ大統領夫人の前職を覚えている人はいるだろうか。
訴訟社会のアメリカでは大量の訴訟が起き、医療の分野はそのターゲットにされることに
怯えている。裁判で負けて50億の支払いを命じられることもある。
その対策に、高額な保険料(訴訟対策のための保険料)を払い、専門の弁護士を確保している。
また、医療保険会社は病院との交渉等に大量の専門家を使っている。

それらは高度な専門職で高収入の人ばかりだ。
アメリカの医療保険会社は強大な力を持っている。
オバマケア導入に大抵抗に会い、大統領が変わるとさっさと反故にされた。
保険会社も医療機関も経営層は日本と比較にならない高額な収入を得ている。
もちろん医師の収入も高額だ。
(ただし産婦人科は訴訟対策の保険料が高すぎて、医師自身の生活が賄えなくて廃業するしか
ない場合もあるほどだとか)

それらはすべて「医療費」から賄われる。もっと正確に言えば医療保険の保険料で。
日本の2倍の「医療費」をかけても、出産したら一日で追い出され、保険の契約にない
治療だから対象外と言われ自己負担の医療費で破産する人が続出し、保険料を払えない
無保険者が人口の1割近くも存在し、まともな医療を受けることが出来ない人が存在する
カオスな社会だ。

「素晴らしいアメリカの医療」は一面である。
渡米して心臓移植手術を受けさせるためにで2億や3億の寄付を集めている人が時々ニュースになる。
これぐらい出せば「最高の医療」が受けられることも、保険料さえ払えなくて病院にかかれない
人がいるのも、「自己責任」を貫徹させるアメリカの医療。