神奈川県の東名高速道で2017年6月に起きた「あおり運転」による一家4人死傷事故を巡り、インターネット上に虚偽情報を流されたとして「石橋建設工業」(北九州市)と石橋秀文社長が計880万円の損害賠償を求めた訴訟は25日、福岡地裁で、被告8人のうち福岡県内の無職男性(60歳代)と和解が成立した。和解金を支払うことになった男性が取材に応じ、「デマを信じて軽い気持ちで書き込んだ自分がばかだった。社長には本当に申し訳ない」と謝罪した。

男性はインターネット上で、事故で逮捕された男と同社が関係しているとの情報を見て、17年10月、「会社の周辺は空気がよどんでいた」などと書き込んだ。その後、同社は全く無関係で、嫌がらせの電話が殺到したことを知り、「とんでもないことをした」と後悔した。

 昨年6月、名誉毀損きそん容疑で書類送検されたが、同8月、証拠が不十分として不起訴になった。罪悪感が募り、今回の訴訟では争わなかった。男性は「軽率な自分が恥ずかしい。ネットの怖さが身にしみた」と話し、今後仕事を探して和解金を工面するという。金額は明らかにしていない。

 石橋社長は取材に「フェイクニュースを信じる危険性を分かってくれたのなら、提訴した意味があった」と語った。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190626-OYT1T50145/