2019年6月26日 19時2分
産経新聞

 普段は姿を見せない深海魚が海岸に漂着したり、漁網にかかったりして出現すると大きな地震が起きるという言い伝えは、統計的にみて迷信だと断定する研究結果を東海大と静岡県立大の研究チームが論文にまとめ、26日発表した。

 この言い伝えは、1743年に刊行された江戸時代の奇談集「諸国里人(りじん)談」にも記録されており、古くからよく知られている。科学的に事実なら、防災に役立つとみて検証した。

 昭和3年から東日本大震災が起きた平成23年までの間に、地震の前兆といわれる「リュウグウノツカイ」など8種の深海魚が出現した事例を調査。学術文献や新聞に掲載された336件について、30日以内に半径100キロ以内でマグニチュード(M)6以上の地震が起きたかどうか調べた。

 その結果、該当したのは新潟県の沖合で深海魚が漁網にかかってから約1カ月後に起きた19年の新潟県中越沖地震(M6・8)だけだった。このため深海魚の出現と地震の発生に統計的な関連はなく、伝承は迷信だと結論づけた。

 静岡県立大の鴨川仁(まさし)特任准教授(地球電磁気学)は「この伝承は誤った情報だと分かった。深海魚が現れても冷静に受け止めてほしい」と話している。

https://news.livedoor.com/lite/article_detail/16681768/