6/29(土) 22:45配信 産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190629-00000582-san-bus_all
 三井物産は29日、ロシアのガス大手ノバテクが北極圏で計画する液化天然ガス(LNG)開発事業に参画すると発表した。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とともにオランダに設立した特別目的会社を通じ、同事業の権益の10%を取得する。同事業は豊富なLNG埋蔵量が見込まれ、LNGの調達先の多様化が期待される。

 同日、大阪で開催された日露首脳会談にあわせ、ノバテクと三井物産、JOGMECの首脳が合意文書に調印した。特別目的会社の出資比率は三井物産が25%、JOGMECが75%。権益取得金額は非公表。三井物産は総事業費のうち500億〜600億円を投融資する。

 JOGMECは中東の地政学リスクが高まる中、埋蔵量が豊富な北極圏LNGの権益取得は日本のエネルギー安全保障上、重要と判断。通常の50%を上回る75%の出資を決めた。三井物産の出資部分については、日本貿易保険(NEXI)の海外投資保険引受で損失をカバーする。

 同事業はロシア北部ギダン半島のLNG開発事業「アークティック(北極)2」(ヤマルLNG2)。生産能力は約1980万トンで、先行するヤマルLNGに続く第2弾。今秋をめどに投資決定し、2023年の生産開始を目指す。北極圏は、地球温暖化で夏場の海氷が減少し、東向きの北極海航路によるアジア向け輸送が可能になった。

 同事業にはノバテクが6割を出資。仏石油大手のトタルが10%、中国企業2社が20%の出資を決めていた。残りの10%をめぐり、中東勢も名乗りをあげていた。