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【気象コラム】 梅雨前線の正体とは
一体ナニモノなのでしょうか
2019/7/1 07:00 (JST)
©株式会社全国新聞ネット

 梅雨の主役、梅雨前線。
 梅雨前線とは一体ナニモノなのでしょうか。

 温度などの性質が異なる気団がぶつかりあうと前線が出来るのですが、その種類は、4種類あります。寒冷前線、温暖前線、停滞前線、閉塞前線です。寒気のほうがより活発なのが寒冷前線、暖気のほうがより活発なのが温暖前線、寒冷前線が温暖前線に追いついたものが閉塞前線です。停滞前線は寒気と暖気の勢力が同じくらいであまり動かない前線のことです。この時期の天気図の主役となっている梅雨前線は、停滞前線の1つです。

 梅雨前線の北側はオホーツク海高気圧からの冷たい北東の風が吹いていて、南側は太平洋高気圧からの暖かく湿った南よりの風が吹いています。これらの風がぶつかって、上昇気流が発生し、雨を降らせています。梅雨前線の北側では雨を降らせる乱層雲が広がるため、長雨となります。その雨の範囲はおよそ300km。さらにその北側200km以内は曇りとなることが多いです。

 しかしこの梅雨前線、2つの高気圧の微妙な力関係で位置がずれてしまうので、梅雨の時期の天気予報はむずかしいのです。気象庁HPでは予報精度が公開されているのですが、降水の有無の的中率をみてみると、関東甲信から九州南部にかけて6月と7月は年平均よりも下がっていて、多いところでは最大6%ほど下がっています。この時期は梅雨前線の位置によって予報がころころ変わるので、最新情報を取得することが大切です。

 そして梅雨末期になりますと、梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込みやすくなります。これを「湿舌(しつぜつ)」というのですが、この湿舌が発生しているときに大雨になるのは梅雨前線の南側となるため、注意が必要です。

 ちなみに、なぜ梅雨というかというと、「梅の実が熟す頃に降る雨」という説と、じめじめしてカビが生えやすいので「黴雨(ばいう)」といったとする説などがあります。食欲増進や疲労回復に効果のある梅干しは、蒸し暑くなるこの時期ぴったりの食べ物ですよ。

(気象予報士・齊藤愛子)