児相にAI 虐待の深刻度など分析 三重で実証実験 全国初
毎日新聞 2019年7月3日 08時55分(最終更新 7月3日 08時56分)
https://mainichi.jp/articles/20190703/k00/00m/040/037000c

 産業技術総合研究所(産総研)などが開発した児童虐待の深刻度などを人工知能(AI)を使って分析するシステムの実証実験が2日から開始した。
三重県内2カ所の児童相談所と県児童相談センター(津市一身田大古曽)に計11台のタブレット端末を導入し、円滑な児相業務の支援や迅速な対応ができるかなどを分析する。
児相でAIを導入するのは全国で初めて。

 システムのベースは、県内の児相が2014年から5年間で対応した記録約6000件をデータ化したもの。
児童の氏名や年齢などの基本情報や児童の様子やけがの有無などの状況を入力することで、過去のデータを参考に一時保護の必要性などを分析する。
一時保護の必要性はパーセンテージで表示され、再発の確率や解決までの日数も予測できる。

 2日に行われた説明会では、開発に携わった産総研の高岡昂太研究員らが出席し、使用方法などを説明した。
実際にタブレット端末を操作した鈴木英敬知事は「操作が簡単で経験の浅い職員やはじめての方でも判断しやすい。
迅速に対応でき、再発防止策としても期待できる」と高く評価した。

 ただ、AIはあくまで過去のデータを基に結果を出すもので、特異事例の予測は難しい。
最終的な判断は職員らで行うことが求められる。
高岡研究員は「児相の業務支援と子どもへの一刻も早い対応を手助けするひとつのツールとして活用してほしい」と話している。