https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190705-00000041-mai-sctch
 肺がんの中でも進行が早くて治りづらく、再発率も高い「小細胞肺がん」で、増殖に関わるたんぱく質の合成を抑制する物質を開発したと、
大阪大などの研究チームが英科学誌で発表した。
人の肺がん細胞を移植したマウスに投与し、がん細胞が死滅することを確認した。
チームは治療薬開発に向け、大型のラットで効果と安全性を確認するという。

 2018年に新たに肺がんと診断された患者は世界で200万人を数え、同年に180万人が死亡したと推定される。
肺がん患者の約15〜20%を占める小細胞肺がんは手術が困難で、日本での5年生存率は10%未満と低い。
発症リスクは喫煙や微小粒子状物質「PM2.5」で高まる。

 たんぱく質の「SRRM4」が関わってがん細胞が増殖し、抗がん剤に対する耐性を持つなど悪性化することが知られている。
耐性を持つと治療法がなく、完治が困難になる。

 そこで研究チームは、このたんぱく質の合成の前に作られる伝令RNA(mRNA)に結合し、分解を促す物質(核酸)を作製。
マウスの実験では、がん細胞を8割程度死滅させられた。
投与量を増やせば「全てのがん細胞を死滅させることも可能だ」(研究チーム)という。

 大阪大の下條正仁特任准教授(創薬科学)は
「大気汚染がひどい地域などで、早期発見をして投薬治療できれば、高い確率での完治が期待できるだろう。一部の乳がんや前立腺がんでも、
同じ効果が見込める」と話す。