北朝鮮側と交渉重ねタイ経由輸出決める 摘発の「明伸」
 核兵器に転用可能な装置を北朝鮮に輸出しようとした疑いで摘発された貿易会社「明伸」(東京都大田区)が、
事前に輸出先の北朝鮮の商社と何度も交渉し、タイ経由での輸出を決めていたことが、警視庁の調べでわかった。
 公安部がこれまでの家宅捜索で押収した資料の中に、
明伸が北朝鮮の「大聖第3貿易商社」と数回やり取りをしたファクスがあった。
 明伸は昨年11月に大阪港から直流安定化電源装置を北朝鮮に直接輸出しようとしたが、
輸出制限の対象になる「キャッチオール規制」に抵触したため断念。
商社との交渉は、その直後に始めていた。
 明伸の社長(52)=外国為替及び外国貿易法違反容疑で書類送検=が「北朝鮮への直接輸出は許可を取るのが難しい」
「最近中国は貿易管理が厳しい」などと現状を説明したうえで「タイへ輸出してはどうか」と提案した。これに対し大聖側は「タイにある通信会社に輸出してほしい」などと具体的な社名を挙げて回答した。
 通信会社は北朝鮮で携帯電話事業などを手がけ、北朝鮮企業と取引のある企業だった。
社長は指示に従って今年4月、装置を無許可でこの通信会社に向け輸出した。
(11/06 17:16)