2018年4月号 DEEP
「強制不妊」目を背けたメディア
https://facta.co.jp/article/201804048.html
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180412-00000001-facta-bus_all
4/12(木) 11:55配信
「強制不妊」目を背けたメディア

「オール日本」で進めた優生手術。毎日新聞やワセダクロニクルなどのコラボで大きなうねりに。

■初の提訴で世論に点火

こうした状況を踏まえ、宮城県の60代の女性が今年1月30日、子供を産み育てる基本的人権を奪われたとして国を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こした。
旧優生保護法の違憲性を問う訴訟は全国で初めてということもあって、主要マスメディアが一斉に報じ、ネットメディアもマスメディアの記事を転載した。

この提訴が世論に火をつけた格好となったが、メディアの側を見ると、この1年ほどの強制不妊に関連する一連の報道では「毎日新聞が(他を)圧倒」(東京新聞1月31日付朝刊「編集日誌」)していたとの見方が強い。
上記の17年7月の宮城県の優生手術台帳や神奈川県の審査会の関連資料の件も毎日新聞のスクープだった。

2月13日にはNPO法人の調査報道メディア「ワセダクロニクル」が強制不妊問題を取り上げ、第1弾として「厚生省の要請で自治体が件数競い合い、
最多の北海道は『千人突破記念誌』発行」を配信。そこで明かされた事実関係については、毎日新聞や共同通信、北海道文化放送などのマスメディアが後追いして広めた。
続いて3月2日には「オール宮城で『優生手術の徹底』、NHK・河北新報の幹部も顧問に」を配信。
1957年2月に設立された強制不妊手術の徹底を目的に掲げる宮城県の団体のトップには東北電力社長が就任、
役員には県医師会会長らが就き、顧問には県知事や仙台市長に加え地元有力紙の河北新報会長やNHK仙台中央放送局長まで名を連ねていたことを当時の資料により明らかにした。

ワセダクロニクルの渡辺周編集長は「戦後の民主憲法の下で戦前の大政翼賛会と同じような構図が繰り返された」として、なぜそうなってしまったのか検証が必要だと指摘する。