2015年12月、コロラド州コロラドスプリングスの米空軍宇宙軍団基地で大々的な机上演習が実施された。
演習の舞台設定は2025年の宇宙空間だ。
詳細は高度な機密事項とされているが(米軍がどのような宇宙兵器を持っているかも明らかにされていない)、「多様な作戦環境におけるあらゆる脅威」を想定したとのことだ。
その脅威の中には、アメリカの人工衛星を攻撃できる中国の弾道ミサイルも含まれる。
中国とロシアは、地上配備のレーザー兵器で偵察衛星の偵察能力を失わせたり、宇宙船を燃やしたりする能力も持っている。
専門家によれば、数年先には宇宙船にレーザー兵器が搭載される見込みだという。
中国とロシアは、他国の人工衛星を機能停止させたり軌道を逸脱させたり、破壊したりするための人工衛星の開発にも取り組んでいるとみられる。

宇宙での戦闘はサイバー攻撃も引き起こすだろう。
気象予報などを担う米海洋大気局(NOAA)が14年に受けたたぐいの攻撃だ。
同局の衛星通信やウェブサイトに障害が起きた事件の首謀者は、中国とされる。
事件は危険なまでの脆弱性を露呈させた。
この手の攻撃が可能なら、アメリカの人工衛星の搭載プログラムを書き換え、偽の気象報告や座標データを送信することも可能だろう。
そうなれば、米軍および同盟軍の作戦計画やミサイル誘導に狂いが生じる。
(ニューズウィーク2016年12月13日号)より