昔、インドの安宿に泊まったら

壁に「め」のかたちの絵が描いてあり
その絵の目の中の瞳孔には穴があき
隣の部屋が覗けるようになっていた
そこは薄いレースで囲まれた不思議な部屋だった
壁は格子状の木で覆われ質の悪い紙だけで補強されていた

夜、隣の部屋から人の気配が
入ってきた二人が求めだし、行為をしだした
喘ぎと
ベットがゆっくりときしみ
となりの部屋のランプに映し出される巨大で頭が肌色のゴキブリ達をみながら
俺は気が狂いそうになる

一時間もすると、男の獣のようなイビキが聞こえてきた
どんな奴かと気になり
目のかたちをした覗き穴をみると
暗くて何も見えない
と、思った刹那、自分の全身の毛が逆立つ
穴の奥には、もう1つの目がこちらを見ていた
うわぁー!と叫んでしまった俺だが
その後、隣の部屋では「ひそひそ」と話し声が聞こえた
真夜中なのに、人が廊下を出入りしている
ドキドキしながら、一睡もせず朝を待つことに
が、数分後、いきなり部屋のドアが開く
声も出せない俺、鍵を閉めてるのに目の前にはチベット系の宿の主人の娘
娘に、いきなり部屋を出るように言われ