0001ごまカンパチ ★
2019/07/17(水) 02:51:50.56ID:3neRgtt39<香港デモの余波で台湾・民進党の予備選を逆転――親中派の国民党候補者が失速気味のなか生真面目な女性総統が一気に反転攻勢を目指す>
このところ香港が国際社会の注目を集めている陰で、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が新たな勝利を手にした。
来年1月に実施される台湾の総統選に向けて、与党・民主進歩党(民進党)は6月13日に公認候補を選ぶ予備選を実施。
蔡が8.2ポイント差で勝ち、台湾独立を公言している頼清徳(ライ・チントー)前行政院長(首相)との一騎打ちを制した。
昨年11月の統一地方選挙で民進党は大敗を喫し、蔡は現職の総統としては屈辱的となる予備選敗退もささやかれていたが、意外なところから追い風が吹いた。
親中国の香港政府に抗議する香港市民が、中国政府に脅威を感じている台湾市民を活気付けたのだ
(頼も対中強硬派だが、蔡の現職としての経験や最近強硬姿勢を強めていたことが台湾市民の心を捉えた)。
とはいえ、来年の総統選は厳しい戦いになりそうだ。
最大野党・国民党から名乗りを上げている有力候補は、典型的なポピュリスト政治家で高雄市長の韓國瑜(ハン・クオユィ)と、iPhoneを製造する
フォックスコン(鴻海科技集団)の創業者で台湾屈指の大富豪、郭台銘(クオ・タイミン)。
国民党は7月8〜14日に一般市民に電話で世論調査を行い、公認候補を決める(国民党は15日、韓國瑜が公認候補に決まったと発表)。
さらに、親中で穏健派の台北市長、柯文哲(コー・ウェンチョー)も無所属で出馬を検討している。
蔡の再選を阻止するために中国共産党が介入を強め、武力による威嚇も辞さないとみられている。
アジアでもとりわけ自由な民主主義社会国の台湾で、蔡は混乱の時代の舵を取り、いくつもの荒波を乗り越えてきた。
粘り強さを発揮し、好戦的な姿勢を強める中国とその独裁者・習近平(シー・チンピン)国家主席と対峙してきた。
ただし、国内の支持率は低迷している。景気停滞の責任を問われ、年金改革で世論の不評を買い、外交では孤立を深めている。
昨年11月の統一地方選挙で大敗した民進党は、南部の中心都市の高雄など重要な支持基盤を失った(韓はこのとき高雄市長に初当選している)。
民進党の予備選で蔡の援軍となったのは、香港市民の抗議デモだ。
香港政府が犯罪容疑者の身柄を中国本土に引き渡せるようにする逃亡犯条例改正案に反対して、6月9日に100万人規模のデモが街を埋め尽くした。
香港市民が中国への不信感を募らせる光景を見て、不安を覚えない台湾市民がいただろうか。
<手のひらを返した韓國瑜>
蔡は16年の総統就任以前から、中国に対して強い姿勢を示してきた。台湾は「一国二制度」を受け入れないと明言。
「一つの中国」の原則を堅持しつつ、その解釈は各自で異なることを認めるとした92年コンセンサス(九二共識)を否定している。
<生真面目な蔡と対照的な候補者たち>
一方で、国民党の親中派の候補者たちは、香港の抗議デモを受けて中国との距離感を変えざるを得なくなっている。
中国との関係強化を前面に押し出して高雄市長に当選した韓は最近になり突然、態度を翻し、一国二制度を実現させるなら
「私の屍(しかばね)を越えて行け」と言ってのけた。
蔡は習からも予想外の「援護射撃」を受けた。
習は1月2日の演説で、台湾に一国二制度に向けた政治対話を呼び掛け、「祖国統一」を受け入れなければ侵攻の恐れもあると語った。
これまでにない単刀直入な表現に、台湾市民は警戒を強めた。
蔡は数時間後に談話を発表し、台湾は中国が示す条件に基づく統一を決して受け入れないと言明した。
熱情的で、時に常軌を逸した行動に出る台湾の政治家の中で、蔡は生真面目に見えて、ややカリスマ性に欠ける。
実績や政策はなくても気さくな人というイメージ戦略で人気を集めている韓や、海の女神「媽祖」のお告げで総統選への出馬を決めたと語る郭の
華やかなキャラクターとは、極めて対照的だ。
もっとも、韓はカリスマ性こそ高いが、スローガンは中身が乏しくスキャンダルも少なくない。
「台湾のドナルド・トランプ」「台湾のロドリゴ・ドゥテルテ」と、米大統領やフィリピン大統領になぞらえて揶揄されることもある。
彼が中国に気に入られていることは明らかだ。
今年3月に香港を訪れた際は、行政長官や中国政府の出先機関、香港連絡弁公室のトップと会談している。
しかし、香港のデモを受けてあっさり手のひらを返した韓は一気に失速しそうだ。
※後略