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お尻を出したまま走行したタクシー運転手、なぜ公然わいせつ罪にならなかったのか?

ズボンや下着をひざ下までおろした状態で走行したなどとして、滋賀県大津市のタクシー運転手の男性が7月13日、軽犯罪法違反の疑いで書類送検されました。報道によると、男性は昨年5月にタクシーを走らせていた際、京都市内で女性客を乗せたまま、尻や太ももを露出させていたそうです。

運転手の男性は容疑を認めており、「腹が窮屈だったのでやっていた」と話していると報じられています。運転手の男性は走行していたときに、陰部も露出していたとみられ、京都府警は刑法の「公然わいせつ罪(刑法174条)」での立件も検討したそうですが、結局、軽犯罪法の「身体露出の罪」(軽犯罪法1条20号)の疑いで書類送検しました。

なぜ、ズボンや下着をひざ下までおろしていたにも関わらず、公然わいせつ罪にはあたらないと考えられたのでしょうか。(監修・M門俊也弁護士)

●公然わいせつ罪の「わいせつな行為」とは?

まず、公然わいせつ罪(刑法174条)は、不特定または多数の人が認識できる公の場で、わいせつな行為をした場合に成立します。刑罰は、6か月以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料となっています。

判例(最判昭26.5.10刑集5巻6号1026頁)によると、「わいせつ」とは、「徒(いたずら)に性欲を興奮又は刺激せしめ、且(か)つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」とされています。具体的は、路上や公園で全裸になったり、ことさらに陰部を露出したりする行為が、公然わいせつ罪にあたります。

今回のケースでも、京都府警は当初、公然わいせつ罪にあたらないか、検討したようです。しかし、女性客の座った左後部座席から、運転手の男性の陰部までは見えず、太ももや尻だけが見えたことから、「わいせつな行為」とまではいえないと判断して、見送られたと報じられています。
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