0001ごまカンパチ ★
2019/07/22(月) 00:05:41.97ID:yqvvXB6W9人間は喜び、悲しみ、恐怖といったさまざまな感情を抱いたときに叫び声をあげる。その叫び声の違いは、純粋に「音」だけを聴いて判別できるのだろうか──。
そんな研究が科学者たちによって進められており、叫びと感情との関係や音響的なメカニズムについての解明が進められている。
こうした研究が進めば将来的には音響センサーで叫びを識別できるようになり、犯罪防止や医療の改善などに応用できる可能性もあると期待されている。
■医療や犯罪対策への応用に期待
「叫ぶ」という行為は多くの動物で見られる。しかし、この極端な声の出し方を、人間ほど多様な場面で用いる種はほかにないだろう。
人は叫び声を聞いたとき、それが叫び声だと容易に認識できる。
しかし、その種類があまりに多いため、どういった理由から叫んでいるのか突き止めるのは難しい。
叫びの研究とは、人間とほかの動物とを分かつ曖昧な境界線を探ることだ。それは過去にさかのぼり、人間が言語をもたなかったころを探る過程でもある。
中略
■人が「叫び声」を認識できるメカニズム
叫び声と決定づける特徴は何だろうか? たいていの人は、大きくて甲高いことだと答えるだろう。
しかし、叫び声に関する過去の研究結果によると、どうもそうではないらしい。
ニューヨーク大学とドイツのマックス・プランク研究所に籍を置く神経科学者のデイヴィッド・ペッペルらは、ある音が恐怖による叫び声なのか、
それともほかの非言語の声なのかを区別する特徴を突き止めるため、2015年にある研究に取り組んだ。
中略
ペッペルらが導き出した結論は明白だった。
恐怖による叫び声を決定づける特徴は、「roughness(ラフネス)」という音の大きさが変動する速さを示す測定値だったのだ。
音の高さが一定の「純音」に聞こえる場合であっても、叫び声であれば実際には1秒間に何十回も大きさが変動している。
ヴォランティアは、大きさの変動がある音ほど不安感が強いと一貫してみなしてランク付けした。
また脳画像からは、扁桃体に流れ込む血液量が音の大きさの変動と関連していたことがわかった。
扁桃体は、脳内で恐れなどの感情を処理する1対の小さな領域だ。
ただし、ペッペルの研究には補足しておくべき重要な点がある。この研究は恐怖による叫びに焦点を当てていた。
このため、ラフネスがすべての種類の叫びを決定づける特徴なのか、あるいは恐怖による叫びにのみに当てはまる特徴なのか、この研究からはわからない。
■叫び声の理由と音響信号
こうした疑問の解消に向けた最初の一歩が、今回のエモリー大学における研究と言えるだろう。
叫びの分野における研究者は世界で数えるほどしかいないが、そのひとりである心理学者ハロルド・グーズールズがこの研究を率いている。
この研究で明らかになったのは、ラフネスは確かにさまざまな種類の叫び声を決定づける特徴ではあるが、これが唯一ではないということだった。
叫び声として分類された音には、音程の上下や基本周波数の高さといったほかのパラメーターも共通して見られた。
しかし重要なのは、ラフネスが叫び声にだけ見られる特徴ではないことだと、グーズールズは指摘する。
彼はエモリー大学の同僚による研究を例に挙げた。幼児が泣いている声の特性を調べたところ、幼児の泣き声もラフネスを示していたのだ。
また、彼の研究に参加した人の71パーセントが叫び声(悲鳴)と混同した音に、口笛が挙げられる。これもやはりラフネスのレヴェルが高かった。
とはいえ、グーズールズのデータを全体的に見れば、人間が叫び声をほかの非言語の声と聞き分けるのがかなり得意であることがわかる。
恐怖、喜び、攻撃のいずれによる叫び声であっても、このことに変わりはない。
グーズールズらが知りたいのは、前後の文脈を理解していなくても、叫び声の理由を区別できるかだ。
つまり、恐怖による叫び声の音響信号は、喜びや攻撃による叫び声と異なるのかということである。
そして、グーズールズの研究所で収集したデータに基づいた初期分析によると、「異なる」という結論に至ったと彼は話す。
この研究結果はまだ発表されていない。人間は恐怖による叫び声と攻撃の際の叫び声とを区別できるようだ。
一方で、恐怖による叫び声と喜んでいる際の叫び声とは、聞き分けるのに苦労するという。