揺らがぬ独善今なお 植松被告「責任能力ある」
相模原障害者施設殺傷
社会 神奈川新聞  2019年07月25日 21:37
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植松聖被告
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植松被告から記者に届いたイラスト
J・ビーバー
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O・ヘップバーン
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A・アインシュタイン
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植松被告の目に映った「心失者」を表現したというイラスト
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植松聖被告から届いた手紙
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 相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件は、発生から26日で3年。殺人罪などで起訴された元職員の植松聖被告(29)は今なお、重度障害者への差別的な考え方を変えていない。来年1月に予定されている初公判を前に自身の刑事責任能力を認め、死刑判決が出た際には受け入れざるを得ないとの認識を示した。「そうでないと社会が丸く収まらないのでは」と語った。

 事件後、植松被告は神奈川新聞記者と24回にわたって面会し、37通の手紙をやりとりした。

 今月23、24の両日、横浜拘置支所(横浜市港南区)。この3年間を振り返った植松被告は「あっという間。非常に有意義だった」と説明。大学教授や記者らとの面会に加え、本を読んだり手紙を書いたりして過ごしてきたといい、「意思疎通がとれない“心失者”は安楽死するべきという考えや知識を深められた」と満足げにうなずいた。

 事件を起こしたことについては「自分の考えを社会に伝えるためにベストを尽くした。後悔は全くしていない」と強調。犠牲者や遺族への現在の思いを尋ねると、「刃物によって命を奪い、突然のお別れをさせてしまったのは申し訳ない。社会のためには仕方がなかった」と淡々と答えた。

 植松被告の裁判員裁判の初公判は来年1月8日。公判で争点になる可能性がある刑事責任能力の有無については「自分にはある」。死刑判決が出たらどうするかとの問いには「受け入れるしかない。死にたくないが、僕が死ななければ社会が丸く収まらないのでは」と自嘲気味に語った。ただ、控訴するかどうかは「制度があるなら、そのときに検討する」とも話した。

 逮捕後から続く勾留生活は「常に監視され、自由もない。個人の尊厳をないがしろにされ、屈辱的だ」と不満を漏らした。今でも同じ事件を繰り返すかと問うと、「もういい。重度障害者とは関わりたくない」と苦笑した。

 面会時の植松被告は黒縁メガネを掛け、黒のTシャツ姿。逮捕後から一度も切っていない長髪を後ろで束ね、逮捕時の金髪は毛先にわずかに残るだけ。終始落ち着いた口調で受け答えし、記者が面会室を入退室する際には深々と頭を下げた。