おととし、大阪・寝屋川市の男性が体内にワイヤーを放置され、それを抜き取る処置を受けた際に心臓に刺さって死亡した事故で、警察はワイヤーを放置した医師と、抜き取る処置をした別の病院の医師の合わせて2人を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

書類送検されたのは、寝屋川市にある寝屋川生野病院の71歳の医師と大阪・都島区にある明生病院の47歳の医師の2人です。

警察によりますと、おととし11月、寝屋川生野病院で市内に住む鈴木博さん(69)が栄養をとるため血管にカテーテルと呼ばれる細い管を入れる手術を受けました。

この際、71歳の医師はカテーテルを入れる時に使った長さ1メートルほどのワイヤーを体内から抜き忘れたということです。

鈴木さんは2か月後転院した明生病院の検査で、ワイヤーが心臓の中に放置されているのが見つかり、取り除く手術が行われましたが、警察によりますと、47歳の医師が力を加えて引っ張ったことから、心臓が傷つき死亡したということです。

警察は、1日、2つの病院のそれぞれの医師が、手術の際、必要な注意を怠っていたなどとして、業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

警察は2人の認否を明らかにしていません。

親族の女性「二度と起こさないで」
鈴木博さんの入院手続きなどをしていた親族の女性は、関わった2つの病院に対し「二度と同じ事が起きないように再発防止策を考えてほしい」と話しています。

女性はカテーテルを抜く処置を行った明生病院から鈴木さんが亡くなったと伝えられた時について「すごく調子がよさそうで、話もできていて、回復していってるのが目に見えてたので、なんでだろうと思った」と振り返りました。

病院側から事前にカテーテルの除去についての説明はなく、面会した担当医も「ワイヤーが入っているなんて思いもしなかった」と説明していたということです。

一方で明星病院は記者会見で処置の前に親族に説明したと話していたため、「聞いていた話と全然違う。簡単に終わる処置だと思っていたのではないか。記者会見を見た時は驚きと怒りがわいてきた」と話していました。

また、カテーテルの挿入手術を行った寝屋川生野病院の担当医師からは直接の謝罪や説明はなく「誠意がなく、とてもひどい」と憤りを見せていました。そのうえで、女性は関わった2つの病院に対し「処置をした医師は自分のしたことの意味をわかってもらいたい。二度とこのようなことが起こらないように再発防止策を考えてほしい」と話していました。
病院側「事案の重大性を痛感」
寝屋川生野病院は「事案の重大性を痛感しています」とのコメントを出しました。

一方、明生病院は「今回の件に関して病院として真摯(しんし)に受け止め、今後とも引き続き捜査に協力していきます」とコメントしています。

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