橋の欄干を使い、岩場での救助を想定した訓練を行う日韓の山岳救助隊員ら=6月12日、韓国(国立登山研修所提供)
https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/201908/20190810at06S_p.jpg
【図解】山岳遭難者数の推移
https://www.jiji.com/news2/graphics/images/20190613j-04-w360.gif

登山を目的に日本を訪れる観光客が増えており、それに伴い外国人の山岳遭難も増加傾向にある。特に韓国からの観光客が多いといい、背景には文化や制度の違いがあるとの指摘も。中央アルプスや立山連峰などを抱える長野、富山、岐阜各県警は担当者を韓国に派遣して合同訓練を行うなど、対策に乗り出している。

警察庁などのまとめでは、2018年に山岳遭難が最も多かったのは長野県で297件、330人。そのうち外国人は19人で、08年に比べ16人増加した。国別では韓国が7人で最多だった。

県警山岳安全対策課によると、同県の中央アルプスでは13年、韓国人グループが遭難し、4人が死亡した。韓国の登山道は国立公園の管理機関が整備し、登山口は管理者が気象条件などで危険と判断すれば閉鎖される。このため、韓国で登山は初心者でも楽しめる身近で安全なレジャーとして普及しているという。

しているという。

一方、日本は自然の形状を残す登山道が多い。同課は「外国人が観光の延長として軽装で登山に臨み、天候の急変に対応できずに遭難してしまうケースも目立つ」と指摘。日本の山の危険性を十分に認識していないことが原因だとみている。
 
登山指導の調査研究などを行う国立登山研修所(富山県)は、長野、富山、岐阜各県警の山岳救助隊員らとともに6月中旬、インバウンドの登山者対策で韓国を訪問。韓国の国立公園の救助隊員らと互いの救助方法を確認しながら、岩場での合同訓練を行った。
 
日本側は、韓国人が長野県内で遭難した事案の内容や原因を紹介して情報交換も行った。自分のレベルに合った山を選択し、装備や天候の確認など事前準備を徹底する必要性を訴えた。
 
参加した長野県警山岳遭難救助隊の櫛引知弘隊長(44)は「日本は基本的に昔から自己責任で登る文化。登山に対する考えが根本から異なるため、遭難防止のためには韓国のやり方を学び、対策することが大切」と語った。

2019年08月10日13時41分 時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019081000170&;g=soc