https://www.asahi.com/articles/ASM8B75DQM8BUTIL01G.html

「私は御巣鷹の遺族です」300キロ交信、偶然の出会い
有料会員限定記事
山崎輝史
2019年8月11日23時0分

 34年前の8月12日に起きた日航機墜落事故で親族を失った男性と、機体が落ちた尾根のある村に暮らす男性。事故から2年後、300キロ以上離れた場所に暮らす2人に接点が生まれた。ある偶然がきっかけだった。

 群馬県上野村の御巣鷹の尾根に日航機が墜落した翌朝。村で釣り堀を経営する田村明治(あきはる)さん(68)は、消防団員の一人として現場に向かっていた。墜落した場所の情報が交錯する中、身の丈ほどのクマザサをかき分け、尾根に着いたのは昼過ぎだった。
 目の前には、担架に乗せられた生存者の中学1年の少女がいた。

 「生存者がいる! ヘリをよこしてくれ」
 消防団の無線を使って村役場に要請したが、応答はなかった。現場は集落から遠く離れた山岳地帯。尾根からの電波は出力不足もあり、山壁に阻まれた。
 その後も何度か現場入りしたが、無線は村役場への連絡手段として役に立つことはなかった。
 安定した通信環境があれば、もっと迅速に救助できたのでは――。そんな思いが残った。

 事故から3カ月後、「上野村ア…
有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です
有料会員になると続きをお読みいただけます
残り:1104文字/全文:1535文字