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香港、空港再開も“一触即発”続く…18日にも大規模デモ予定 外務省渡航警告「レベル1」
2019.8.15

 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐり、香港国際空港で発生した大規模デモ。停止されていた搭乗手続きは正常化に向かっているが、中国政府がデモ鎮圧のため、部隊や武装警察を集結させているとの情報を受け、空港をはじめ現地の緊張感は高まったまま。いつ何が起きてもおかしくない一触即発の状況が続いている。

 同空港では14日午後までに出発ロビーからデモ隊が閉め出され、空港業務がおおむね再開。当局が許可した到着ロビーの一部で100人前後が座り込みを続けた。香港の男子大学生は「昨日夜の衝突や裁判所命令を受けて、自分の将来への影響を恐れる人が出てきている」と認める一方、多くの参加者は18日に予定される大規模デモに「力を蓄える」方向に転じたとも指摘した。

 中国の部隊が香港近隣に集結しているとの情報について男子学生は「もし本当に軍が展開したら、別の選択肢も含めて皆と進退をともにする」とも語るなど緊張感はいまだ解けていない。

 日本外務省は14日、香港への渡航について十分な注意を呼び掛ける「レベル1」の危険情報を出した。1997年の香港返還後、危険情報の発出は初めて。混乱が長引けば、富裕層の資金が香港からシンガポールなどへ流出する恐れもあり、国際金融都市としての地位が揺らぐ可能性も指摘されている。

■香港騒乱…日本人旅行客「補償ゼロ」の可能性 現地泊が長引けば自腹も

 海外旅行トップシーズンで勃発した香港での大規模な騒乱。現地への旅行が重なった邦人は、渡航不能や現地で足止めをくらうなど散々な目に遭った。この場合、旅行代金の補償はどうなるのだろうか。


 観光ビジネスに詳しい淑徳大経営学部観光経営学科の千葉千枝子教授は、「旅行代理店がツアーの中止を決めれば全額が返金される」と話す。だが、ツアーの中止がはっきりと判断されないまま当日を迎え、現地での紛争を理由に渡航しようにもできない場合、主催者側の判断とは別に、ツアーは半ば消滅状態となる。そうなると、「『標準旅行業約款』を基に各社によって対応は異なるものの、今回の香港のようなケースでは、返金額はゼロの可能性が濃厚」と千葉氏は話す。

 現地へ渡航はできても帰国する際、搭乗便が欠便した場合はどうか。すでにツアー代金として航空券の費用を支払っているため、代替便に搭乗できる。「欠便で宿泊を余儀なくされるのなら、基本的にその宿泊代は航空会社が補填してくれる」と千葉氏。ただ帰国の便が一向に決まらず現地泊が長引くようだと、「自腹の恐れもある」。

 紛争に巻き込まれると何一ついいことはない。