地元の暴力団追放運動で閉鎖に追い込まれた指定暴力団神戸山口組の旧本部事務所(兵庫県淡路市)の土地と建物について、組側が売却の意向を示していることが26日、関係者への取材で分かった。

 地元からは売却を機に組勢力の一掃を望む声が聞かれるが、不動産の価格は数千万円に上るとみられ、売却先はまだ決まっていない。

 神戸山口組は4年前の平成27年8月27日、国内最大の指定暴力団山口組を離脱した勢力が結成し、神戸側の最高幹部が率いる淡路市の2次団体「侠友会(きょうゆうかい)」の事務所に本部を置いた。


 月に1度の「定例会」には、人口4万人強の淡路市に全国から高級車で直系組長らが訪れるようになり、地元で暴力団追放運動が活発化した。29年10月には地元住民側の訴えに基づき、神戸地裁が暴力団事務所としての使用を禁じる仮処分を決定。組側は事務所閉鎖に追い込まれ、本部機能を神戸市内に移した。

 関係者によると、旧本部事務所は3階建てで、閉鎖後も神戸側の最高幹部が居住。幹部側は不動産の売却を周囲に打診したが、価格が数千万円に上るため買い手が見つからず、警察側も情報収集を進めている。

 組施設の再利用をめぐっては、和歌山県暴力追放県民センターが22年2月、山口組系組事務所だった和歌山市のビルを、暴力団追放運動拠点としてオープンさせた。約1300万円かけて内装工事を実施し、組長室があった2階を事務所兼相談室、襲名披露が行われた3階を会議室とした。

 ある地元関係者は「旧本部の売却が実現し、地元から暴力団が一掃されることを願う」と話している。

 キーマン10月に出所へ

 神戸山口組結成の火種となった国内最大の指定暴力団山口組の分裂から27日で丸4年。その後に誕生した任侠(にんきょう)山口組を含め、山口組を名乗る3団体による三つどもえの対立抗争は収束の気配がない。今月21日には神戸市内で山口組系組員が重傷を負う銃撃事件が2年ぶりに発生。山口組側では10月、資金面で力を持つ“キーマン”が刑務所を出所する予定で、警察当局は組織再編や抗争激化の呼び水となる恐れもあるとみて、警戒を続けている。

 キーマンとは山口組ナンバー2の「若頭」の高山清司受刑者(71)=恐喝罪で服役中。2次団体「弘道会」を率いて公共事業に浸透し、表と裏のビジネスで組側に莫大な利益をもたらしたとされる人物だ。組員の動きにも広くにらみが利くとされる。

 平成27年8月、組の運営方針に反発した幹部が山口組を離脱し神戸山口組を結成。29年4月には神戸山口組を離れた勢力が現在の任侠山口組を組織したが、いずれの分裂騒動も高山受刑者不在の中で起きた。山口組の勢力は依然として、ほか2団体よりも圧倒的とされ、ナンバー2の出所を前に復帰を考える組員もいるとされる。

 神戸山口組関係者は「組全体で六代目(山口組)へ戻ることはないが、単独復帰を考える幹部はいる。自民党を出たのに戻りたがる野党議員のようだ」と説明。今後神戸側への圧力が強まる可能性については「警察に組を潰されるのは仕方ないが、六代目には潰させない」と対立姿勢を崩さない。

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