記録的な大雨による大規模な冠水被害から一夜明けた佐賀県では29日、時折、雨が降る中、自治体や住民らが復旧作業や片付けに追われた。

 同県大町(おおまち)町では孤立状態が続く病院に職員らが町などのボートで派遣され、自宅で夜を過ごした周辺の住民らも救助された。

 鉄工所から流出した油が混じった水が1階部分に流れ込んだ大町町の順天堂病院と併設する老人保健施設。一晩中働いた介護職員の女性(51)は29日午前、勤務交代のためボートで施設を出た。「不安を感じている高齢者もいたので『大丈夫ですよ』と呼びかけた。食料や水は入所者らに提供できた」と話した。

 佐賀県医務課によると、同病院と老人保健施設には午前7時現在、患者110人と入所者69人、医師や看護師らも合わせて計215人が残っている。患者と入所者のうち7割が寝たきりで、43人は人工呼吸器を利用している。冠水で前日は出勤できず、この日ボートで職場に向かった介護職員の女性(40)は「助けに行けずに歯がゆかった。丁寧に心のケアをしてあげたい」と語った。

 水が引いた地域では、住民らが自宅に戻り、水浸しになった家の片付けを進めた。佐賀市大財(おおたから)の男性(84)は、一時、膝下ほどまで浸水した木造2階建ての自宅で、ぬれた家具を外に出したり汚れた床を拭いたりした。「高齢なので片付けも一苦労だ。早く普通の生活に戻りたい」とため息をついた。

 交通規制が一部解除された佐賀県武雄市の国道34号沿いの飲食店やホームセンターでは、従業員らが朝から作業に追われた。うどん店「かま蔵」では、店内の壁に約1メートルの高さまで水が押し寄せた跡が残っていた。従業員ら6人が割れたコップや散乱したいすを片付けたり、泥水を吸った畳を店の外に運び出したりした。

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