1986年、アメリカのフロリダ州でミイラ化した約7000年前のヒトの脳組織が発掘された。

従ってこの脳組織はアメリカ大陸に7000年前にいた人間、いわゆるアメリカ・インディアンの祖先のものとされた。
カリフォルニア大学で、この脳組織からまず、微量のmtDNA(ミトコンドリア・デオキシリボ核酸)の抽出に成功した。

次に当時最新の画期的なDNA増幅技術・PCR法を使って、mtDNAの一部を増幅し塩基配列(DNAの文字列)の決定にも成功した。
その結果、大部分の現代人では、≪GGGCCC≫という文字列になっている塩基配列がこのミイラには≪GGACCC≫となっていた。

そこで、まず現代のアメリカインディアンの中に≪GGACCC≫の塩基配列を持つ人がいないかを調べだが、誰のDNAにも見いだせなかった。

ところが、遺伝子研究の権威である日本人の故・宝来聡博士が調べた日本人の中の多くが、ミイラと同じ≪GGACCC≫という配列であることが明らかとなった。
このような変異型のDNA配列を持つミイラと現代日本人の一部が一致するというようなことは偶然では起こり得ないことで、現代日本人と7000年前に生きていたこのミイラが、遺伝子レベルで共通の基盤を持っているとわかった。

南北アメリカ大陸で調査したインディアンY染色体遺伝子は、Dから別れたE系である。