テレビ電話越しに女子高校生にわいせつな行為をさせ、ひそかに録画した動画をネットを通じて拡散したり、販売したりしたとして、熊本県警は2日までに、熊本県と埼玉県在住の男子高校生を児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで書類送検した。事件は、ネット上に公開された画像などが短期間に拡散され、完全に消すのが難しい「デジタルタトゥー」を招く現代社会の一端を浮き彫りにしている。

■「軽いノリ」後悔

 「軽いノリで脱いでしまった。まさかこんなことになるなんて…」。テレビ電話中のわいせつな動画を勝手に録画され、インターネット上で拡散された女子高生=宮崎県=は捜査員に悔しそうに語った。

 菊池署と県警少年課によると、送検容疑は埼玉県の男子高生(17)が2月下旬、女子高生の下半身の動画を録画しインターネット上で拡散させるなどした疑い。県内の男子高生(17)は3月下旬、動画を販売した疑い。

 「JS(女子小学生)やJK(女子高校生)までたくさんあります。10本セット1000円、20本セット1800円…」。事件の発端は、菊池署員がサイバーパトロールで見つけたツイッター上の書き込み。下半身などをあらわにした制服姿の女子高生の動画(約20分間)だった。県警は、服に刺しゅうされた学校名などから女子高生を特定した。
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 女子高生は、関東の大学生になりすましていた埼玉県の男子高生と1月、友だち探しの通話アプリで知り合った。すぐにLINE(ライン)上でのやりとりが始まった。女子高生は、テレビ電話での「制服姿が見たい」「パンツ脱いでよ」といった要求に応じた。すぐに怖くなりLINEをブロックしてやりとりを止めたが、知らない間に録画されていた。

■「さみしかった」

 女子高生は「受験で忙しく、彼氏もいなくてさみしかった。悩みを何でも聞いてくれる優しい人だと信用してしまった」と振り返ったという。

 埼玉の男子高生は録画した女子高生の動画をネット上で不特定の複数の人物と交換していたとみられる。さらに同様の手口で、別の複数の女性のみだらな動画を録画していたらしい。

 県内の男子高生はネット上から動画を集めて販売しており、摘発されるまでに1万円分ほどを売り上げていたとみられる。

 県警は「軽はずみな行為で未成年が容疑者にも被害者にもなるという典型。事件には摘発を含め厳しく臨むが、ネット上でいったん拡散したら、完全には消せないことを肝に銘じてほしい」と警鐘を鳴らしている。
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(2019年9月3日付 熊本日日新聞朝刊掲載)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190903-00000003-kumanichi-l43
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20190903-00000003-kumanichi-000-view.jpg