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「機内のフランス語が不十分」 エア・カナダに160万円賠償命令
8時間前
2019/09/03

カナダの飛行機なのに、フランス語表記が不十分じゃないか――。フランス語を話すカナダ人夫妻のそんな訴えが認められ、エア・カナダが裁判所から、損害賠償の支払いと謝罪文の発行を命じられた。
2016年に裁判を起こしたのは、ミシェル・ティボドーさんと妻リンダさん。
夫妻が提出した22の訴状によると、エア・カナダの国内線で、シートベルトのバックル部分に、「持ち上げて」外すことを示す英語文字<lift>が刻まれていた。しかし、フランス語の表記はなかった。
また、「非常口」などにはフランス語表記もあったものの、英語の<exit>に比べ文字が小さかった。

英語のほうがていねい?

さらに、フランス語の話者が大半を占める、東部ケベック州モントリオール行きの搭乗アナウンスは、フランス語よりも英語の方がていねいだったという。
夫妻は、「エア・カナダは、組織的に『フランコフォン(Francophones=フランス語でフランス語話者の意味)』の言語権を侵害している」と主張した(判決より)。
一方、エア・カナダは、夫妻が「公用語法」を厳格に解釈し過ぎていると主張した(裁判資料より)。

「公用語法」違反と判断

この訴えに対し、カナダの最高裁判所は8月30日、エア・カナダが、「カナダ公用語法」に違反したと断定。カナダ最大の航空会社である同社に対し、2万1000カナダドル(約167万円)の損害賠償の支払いと、夫妻の言語権を侵害したことに対する謝罪文の作成を命じた。 
判決で裁判所は、同社が「言語的義務を守らず」、英語とフランス語に平等の地位を与えることを目的に1969年に制定された「カナダ公用語法」を犯したと結論づけた。

機内表記の改善を

カナダ放送協会(CBC)のインタビューで、ミシェルさんは、判決には満足しているとしつつ、今後、エア・カナダの機内表記が改善されることを望むと述べた。
「表記というものは、同等の品質でなければならない。今後数ヶ月の内に、両公用語による表記が使用されたエア・カナダ機を利用できるようになると期待している」
エア・カナダは、機内表示の変更を行う方針だと報じられている。

過去にも提訴

じつは、ティボドー夫妻がエア・カナダを言語権侵害で訴えたのは、今回が初めてではない。
カナダ紙「トロント・サン」によると、夫妻はエア・カナダの国際線に搭乗した際、注文したものとは異なる飲み物が出されたことをめぐり、エア・カナダを提訴したが、カナダ最高裁は2014年、訴えを退けた。

(英語記事 Air Canada fined for not using enough French )

https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/14B5A/production/_108562848_mediaitem108562844.jpg