奈良市の奈良公園で8月中旬、国の天然記念物「奈良のシカ」が熱中症とみられる症状で保護されていたことが分かった。

 奈良の鹿愛護会によると、シカの熱中症が確認されたのは初めて。症状は「人間なら意識を失って救急搬送されるほどの重症」だったという。

 同会によると、8月14日の夕方、「奈良国立博物館の近くで動けなくなっているシカがいる」と通行人から連絡があった。保護したのは15歳ぐらいのメス。自力で立つことはできず、しゃがみ込んでもうろうとした状態だった。ただ、目立った外傷はなく、不自然にやせ細っているわけでもなかった。

 そこで、動物病院の協力を得て血液検査をしてみると、腎臓の数値がイヌやネコといった哺乳動物の5倍以上に跳ね上がり、腎不全が危ぶまれる重篤な状態であることが判明。熱中症と判断した。

 ぬれタオルでシカの体温を下げ、点滴治療を続けたところ、数日後には自力で立てるまでに回復。1週間後には元気に奈良公園へ帰っていった。また、同20日にも熱中症とみられる生後1カ月未満の子ジカを保護したという。

 奈良市では、7月28日から26日連続で最高気温が30度以上の真夏日となり、このうち14日は35度を超える猛暑日だった。

 同会の丸子理恵獣医師は「奈良のシカは木陰が少なく、アスファルトに覆われた街中で暮らしているので、暑さの影響をモロに受けたのかもしれない」と指摘した上で、「今回得られたデータを今後の治療に役立てたい」と話している。

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