カラオケ業界に吹く風は ボルダリング壁や複数大画面…

 映画館のようなスクリーンにライブハウスのような設備、壁にはボルダリング−。この空間がカラオケボックスだと、誰が想像できるだろうか? 利用者層の幅を広げるため、カラオケ業界が多彩な仕掛けを展開している。変化を遂げる現場を訪ねた。(津田和納)

 扉を開けると80インチのモニターが4面、目に入ってきた。黒色を基調とし、30人ほどが入れる部屋には、ゆったりとした革のソファ。ここは、スーパージャンカラ生田ロード店(神戸市中央区北長狭通2)の「究極のスペシャルルーム」だ。

 「最高品質のスピーカーにマイク、最新の設備がそろっています」と、同店など「ジャンボカラオケ広場」を運営する東愛産業(京都市)はアピールする。結婚式の2次会などパーティー利用が多いが、中にはDVDを持ち込み、声優が演じる舞台劇を大画面で観賞するファンも。別の店舗には、画面の前に柵を設置し、ライブハウスの最前線を体感できる部屋もある。

 一方、同社は「カラオケ」に特化しない使い方も広げている。風変わりなのが、ボルダリングの壁を備えた部屋。人気上昇中で個室でもできることに着目し、神戸や大阪などの一部店舗で展開する。ほかにも、プロジェクターや公衆無線LAN「Wi−Fi」を完備し、平日限定で会議室として貸し出すサービスもある。

 同社の広報担当者は「今後も個室空間の強みを生かした新しい楽しみ方を提案していきたい」と話す。

     ◇

 使い道も多様なら、選べる“曲目”も多彩に。歌ではないが、このところ注目を集めているのが、電車の運転士や客室乗務員の案内放送を疑似体験できる「アナウンスカラオケ」だ。

 提供するのは、カラオケメーカー「JOYSOUND(ジョイサウンド)」を展開するエクシング(名古屋市)。2017年に東京の私鉄から始まり、今では大阪、名古屋を含め鉄道8社のバージョンがそろう。

 「まもなく扉が閉まります」「終点、〇〇です。お忘れ物をなさいませんようご注意ください」。運転席からの景色が流れる画面を見ながら、車内放送の字幕をマイクで読み上げる。ちなみに、アナウンスが途切れる間は「間奏」ではなく「間走約○秒」と表示される。

 エクシング宣伝広報部の担当者によると、運転士や車掌の気分を満喫できるとインターネットで話題になり「鉄道ファンはもちろん、子連れにも大人気」とか。18年には客室乗務員になりきれる「飛行機カラオケ」の配信も始めた。

 今はカラオケボックスにいながらにして、音楽ライブやスポーツの試合をリアルタイムで楽しめるよう、生配信する機器の導入も進めているという。

カラオケルームでボルダリングに挑戦する記者=神戸市中央区三宮町1、ジャンカラ三宮駅前店
https://i.kobe-np.co.jp/news/sougou/201909/img/b_12708171.jpg
大画面モニターを配置した「究極のスペシャルルーム」=神戸市中央区北長狭通2(東愛産業提供)
https://i.kobe-np.co.jp/news/sougou/201909/img/b_12708172.jpg
「飛行機カラオケ」の一場面。航空会社「ジェットスター・ジャパン」の協力で配信する(エクシング提供)
https://i.kobe-np.co.jp/news/sougou/201909/img/b_12708173.jpg

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201909/0012708170.shtml
2019/9/17 15:00神戸新聞NEXT