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原発事故 無罪判決 課題抱える東京電力
2019年9月19日 15時52分福島第一

福島第一原発の事故をめぐり東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で東京地方裁判所は3人全員に無罪を言い渡しました。しかし、福島第一原発の津波対策をめぐっては、政府、国会、民間の事故調査員会がいずれも問題があったと指摘し、東京電力自身も「津波の想定に甘さがあり、備えが不十分だった」と認めています。

その背景として、日本の原発では重大な事故は起こらないといういわゆる「安全神話」が電力業界に浸透していたことが、津波などへの対策の不備につながったと指摘されています。

福島の事故の後、東京電力は実質的に国有化され、会長や社長なども交代を重ねて経営陣が刷新されています。いまの事業計画では、原発の廃炉や賠償などの費用に充てるため、合理化などによって年間5000億円の利益を積み上げることになっています。

その一環として、1基当たり年間最大で1100億円の利益改善効果があるという新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働を目指していますが、2017年、規制当局から合格を得たものの、地元の自治体からの同意は得られていません。

いまの経営陣も重い責任を負っていることに変わりはなく、かつての「安全神話」から本当に脱却できているのかが問われています。

また、今月の台風15号では送配電の設備が大きな被害を受けて千葉県では大規模な停電が長期化しています。

合理化の一方で、災害への対策が十分だったのか、後に検証される見通しで今後の課題となります。