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高森の2養豚場、豚コレラ感染確定 県畜産試験場と同じ処理場利用

 豚コレラに感染した疑いで南信地方の養豚場の豚を検査していた県は19日午前、下伊那郡高森町の養豚農家が経営する町内2カ所の養豚場の豚が豚コレラに感染していたと発表した。この養豚場は、14日に豚コレラ発生が確定した県畜産試験場(塩尻市)と同じ中信地方の民間食肉処理場を利用しており、11日が同じ出荷日だった。14日には、豚の異常の有無を県に毎日報告することなどが求められる「監視対象農場」になっていた。

 県農政部の山本智章部長は19日、高森町の豚コレラ発生と、畜産試験場や食肉処理場を介した車両などによる間接的な感染について「可能性があるが、現時点では分からない」と述べた。同じ食肉処理場を利用した他の南信と東信の各1施設も監視対象農場に指定されたが、異常は確認されていないという。

 県はこの日、高森町の2カ所の養豚場で飼育されている計112頭の殺処分を始めた。20日朝までに全頭を処分し、22日朝までに埋却や消毒作業を終える予定。飯田市の龍峡酪農業協同組合、高森町牛牧南待避所、同郡松川町大島待避所、同郡豊丘村役場の4カ所に消毒ポイントを設け、関係車両の消毒を呼び掛ける。

 県農政部によると、高森町の養豚場から半径3〜10キロ圏内の「搬出制限区域」にある飯田市、松川町、喬木村、豊丘村の計7養豚場は、高森町の防疫措置の終了から17日間は豚などの区域外への搬出が制限される。過去28日間に中信の民間食肉処理場に出荷した養豚場は監視対象農場に指定される予定だ。

 高森町の養豚場は監視対象農場になったことを受け、県が17日に行った立ち入り検査で複数の豚の発熱を確認。18日の血液の遺伝子検査結果は陽性だった。豚を解剖し、より詳細な臓器の遺伝子検査を県松本家畜保健衛生所(松本市)が実施したところ、19日にかけて検査した5頭全てで陽性反応。国と協議し、同日午前8時に感染が確定した。

 県は19日午前9時から県庁で対策本部会議を開き、本部長の阿部守一知事は防疫対策の徹底を指示した。

 豚コレラ感染は、昨年9月に岐阜市の養豚場で国内では26年ぶりに判明。長野県内では県畜産試験場での発生で全349頭が殺処分された。今年2月には、愛知県内の養豚場から仕入れた豚が原因で、上伊那郡宮田村の養豚場で感染を確認。出荷先の食肉処理場と合わせ、計2482頭を殺処分した。

 長野県内では100頭余の野生イノシシの豚コレラ感染が判明しているが、高森町では見つかっていない。同町は感染イノシシ発見地点から半径10キロ圏内を外れており、より厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域にも入っていなかった。

(9月19日)