米ニューヨークで二十三日に開かれる国連気候行動サミットに向けた議論のプロセスで、温室効果ガスの排出削減策を話し合うグループの議長役を日本が依頼されたが、引き受けなかったことが、分かった。

外務省は「六月の二十カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)やその準備に集中するためだった」と説明。一方、日本は当面の削減目標の引き上げに消極的なことから、政府内には「議論を先導するのが難しく、辞退した」との見方がある。環境団体からは「世界をリードする役割を担ってほしかったが残念だ」と失望の声が上がっている。

今回のサミットは、地球温暖化に強い危機感を抱く国連のグテレス事務総長の呼び掛けで開催。各国は削減目標の引き上げの表明が期待されている。分野別に九グループに分かれて事前に事務レベルで協議した結果も報告される予定だ。

国連は排出削減の強化に関するグループの議長役を日本とチリに依頼。三月にサミットのホームページに議長役として掲載されたがその後、日本は削除された。

外務省は「依頼に応じるかどうかを検討中に一方的に公表された」と説明する。だがある政府関係者は、G20サミットを理由の一つに挙げつつも「削減目標引き上げを決めた国が参加する中、目標見直しの議論がほとんど進まない日本が話し合いをリードするのは困難だとして辞退した、と聞いた」と取材に答えた。

パリ協定は、二〇二〇年までに排出削減目標を引き上げるよう求めている。日本は「三〇年度に一三年度比で26%減」との目標を掲げるが、見直しの議論は進んでいない。

2019年9月20日 夕刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201909/CK2019092002000329.html