「ねえ、遊ぼうよ」、「嫌だ、あちらに行って」――。野生のイノシシと野良猫の間で、そんな会話が交わされたかのような光景が19日、三重県志摩市大王町のともやま公園・桐垣展望台で目撃された。イノシシは猫の群れにすり寄っては振られ続け、すごすごと森に帰って行ったという。

この光景を鳥羽市船津町の日報連会員、岡村廣治さん(72)が写真に収めた。桐垣展望台は、真珠の養殖いかだが浮かぶ英虞湾に夕日が沈む絶景の撮影スポットとして知られ、約20人のアマチュアカメラマンらが集まっていた。

野良猫の群れに近づく野生のイノシシ=三重県志摩市大王町のともやま公園で、日報連会員の岡村廣治さん撮影

岡村さんによると、イノシシが姿を現したのは同日午後5時過ぎ。柵の内側では数匹の猫がくつろいでいた。イノシシは「のっそりと猫たちに近づいたが、どの猫も迷惑そうにしていた」。7、8分、イノシシが近づいては猫が遠ざかるという場面が繰り広げられた。この間、周囲の人間には目もくれなかったという。

イノシシは体長70〜80センチほどで、成獣になる直前とみられる。市ともやま公園事務所によると、公園内でイノシシが目撃されるようになったのは最近のこと。ハンターが減り増えたとみられる。同事務所は「イノシシに危害が加えられた事例はないが、遭遇しても決して目を合わさず、近づかないように」と呼び掛けている。【林一茂】

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毎日新聞2019年9月20日 16時37分(最終更新 9月20日 16時41分)
https://mainichi.jp/articles/20190920/k00/00m/040/148000c