8月末にラオス南部を襲った台風とそれに続く集中豪雨は広範囲で大規模な被害をもたらし、これまでに約60万人が被災し、14人の死亡が確認されている。ところがこうした被害の実態はラオス国内ではあまり伝えられていないのが実情という。

そんななか、政府や地方自治体による救援活動が遅々として進まない実情をインターネットで訴えた地元の女性が政府を批判した容疑で警察に逮捕され、弁護士などとの面会も拒否されていることがわかった。

米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」などが伝えたところによるとラオス南部チャンパサック県に住む女性、フアイファン・サヤブリさん(30)がfacebookを通じて同県周辺で洪水被害に遭った多くの住民に対する救援活動が不十分であることへの不満を訴え、早急な対策を求めた。

これに対しチャンパサック県警察は9月12日、サヤブリさんを「中央・地方政府やラオス人民党を批判、中傷した」として刑法117条違反容疑で逮捕した。その後彼女は警察施設に身柄を拘留されているが、弁護士や家族との面会も一切認めない措置が続いているという。

サヤブリさんの家族は地元ポーントーン郡警察に対して即時釈放を要請しているが、同警察は上級のチャンパサック県警察の管轄であり権限がないとしている。

<「政府はもっと救援活動ができるはず」>

サヤブリさんは、facebookに投稿した動画で「私の両親や家族は周囲を洪水の水に囲まれている。なぜヘリコプターが救出に来ないのか。救援のための政府予算が限られていることは理解できるが、政府は多くの被災者にもっと救援活動ができるはずだ」などと救援活動への不満を表明し、さらなる救援を求めた。

そのうえで「政府職員がいくら給与ももらっているか知っている。彼らがいい車や家を購入できるのはなぜかも知っている。洪水被害に遭遇していない人たちは被災者の痛みを分かっていない」と話した。こうした発言が政府や政府職員を批判したとして逮捕に繋がったみられている。

9月5日にアップされたこのfacebookの動画は17分に及ぶもので、9月19日までに約16万回再生、視聴されている。サヤブリさんのfacebookアカウントは依然として残っており、逮捕の原因となった問題の動画も視聴可能となっている。

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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190920-00010007-newsweek-int