親や親族との同居は、人それぞれに事情もあるので必ずしも悪いこととは言い切れません。
ただ、親の収入に頼り、仕事をしなくてもなんとかなるという状況に甘えて、最近社会問題となっている「中高年のひきこもり」を生む危険性があるのも見逃せない側面です。

なぜ未婚男女は親と同居を続けるのか
不動産情報メディアの「マンションサプリ」は、親または祖父母と同居中の20代〜50代未婚男女を対象にしたアンケート調査を行っています(2016年9月)。

その結果を見ると、同居理由の第1位は「生活費を節約したいから」で男性28.3%、女性32.0%と、男女ともに全体の約3割。続く第2位は「特に理由はない」(男性22.2%、女性21.9%)、
第3位は「家事や炊事をしてもらえるから」(男性16.7%、女性14.1%)となっています。

実家で暮らすなら、一人暮らしと比べて家賃や光熱費などの生活費を大幅に抑えることができます。十分な賃金をもらえていない若い世代は、本人の意思に関わらず実家暮らしを余儀なくされているのかもしれません。

また、「特に理由はない」というのは「実家暮らしが不快ではなく、わざわざ出て行く必要がない」という意味にも捉えられます。もし実家が経済的に困窮していたり、親子の仲が悪ければ、同居したくてもできないということになるでしょう。
特に理由はなくても実家に住み続けることができるのは、ある意味恵まれた環境とも言えます。

女性に注目して年代別に見てみると、20代女性、30代女性ともに第1位の理由は「生活費を節約したいから」。第2位以降は年代によって順位に違いが見られます。
特に20代女性では「一人暮らしが寂しいから」という理由が4%であるのに対し、30代女性は15%と大きく跳ね上がっているのが特徴的です。

この年代だと、周りが結婚して家庭を作り始める中、自分が独身だと休日に遊べる人がいなかったり、子どもの話を共有できなかったりと寂しくなる気持ちも理解できます。
単純にお金のことだけではなく、心理的な理由から実家暮らしを選択する女性もいるのでしょう。

社会問題化する「中高年のひきこもり」
平成31年3月に内閣府は「生活状況に関する調査」の中で、40歳〜64歳で半年以上ひきこもり状態になっている人の数を次のように発表しました。

(1)趣味の用事のときだけ外出する人は推定24万8000人(準ひきこもり)
(2)近所のコンビニなどに出かける人は推定27万4000人(狭義のひきこもり)
(3)「自室からは出るが家からは出ない」と「自室からもほとんど出ない」を合わせた人の推計は9万1000人(狭義のひきこもり)

(1)から(3)を合わせた「広義のひきこもり」は61万3000人に上ります。
また、ひきこもりになった主な原因としては、「退職(定年退職)」「人間関係がうまくいかなかった」「病気」「職場になじめなかった」などが挙げられています。

特に就職氷河期で大学卒業後にうまく就職先を見つけられず、非正規やパートの仕事しかなく、結婚もできず、ひきこもりになってしまったケースも目立つようです。

同調査では、ひきこもりを始めてから7年以上になるという人が半数ちかくいることも分かりました。また、父または母が生計を立てている割合は34.1%となっています。

この人たちがこのままの状態で親世代が亡くなれば、生活保護受給者となることも十分に考えられます。
これを支える社会保障費のしわ寄せは若い世代にくるため、ひきこもりの人たちが社会復帰できるような対策を立てることは急務だと言えるでしょう。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190920-00013419-toushin-life&;p=2
9/20(金) 19:45配信