「佐藤さん」によるまちおこしを学ぼうと、「鈴木さん」でまちおこしに励む和歌山県海南市を訪れたさのまる(右から3番目)ら(佐野市提供)
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■「佐」野の「藤」原氏ルーツ?■「鈴木」の海南市と連携

 佐藤さんのルーツは「佐野の藤原氏」――? 佐野市は今年度から、全国で最も人口が多い名字「佐藤」ゆかりの地であることを生かしたまちおこしプロジェクトを始める。佐野市が全国に200万人近くいると推定される「佐藤さん」の聖地であることをPRし、観光誘客やふるさと納税誘致につなげる。

 「佐藤」という名字のルーツは諸説あるが、佐野に拠点を置いた平安時代の豪族・藤原秀郷の子孫である公清(きんきよ)が「佐野の藤原氏」という意味で「佐藤」を名乗ったことから始まるという説がある。歌人として有名な西行も公清の子孫で、本名は「佐藤義清(のりきよ)」と佐藤さんの一人だ。

 明治安田生命の2018年の調査によると、佐藤は全国で最も人口が多い名字で、約194万人の佐藤さんがいると推定される。市はこの人口の多さに着目。佐野市とつながりを持つ佐藤さんを増やそうと、プロジェクトを計画した。

 プロジェクトでは、佐野市と佐藤さんの関係を学術的に調査するとともに、全国の佐藤さんが参加する団体の創設やイベントを開催する。「佐藤さんの聖地」としてPR活動を行うことで、佐野市に親近感を持つ佐藤さんを増やす。最終的には、藤原秀郷の居城だった唐沢山城(佐野市富士町)への観光誘客や、ふるさと納税寄付額の増加をねらう。

 市は今年度、国の地方創生推進交付金を活用しながら、約1170万円の予算を確保。実際の業務は民間企業や団体に委託する予定で、10月中旬から公募を開始する。今年度内には委託先を決め、今後3年間をめどにプロジェクトを実行に移していく見込みだ。

 同様のプロジェクトは、推定約182万人で2番目に人口が多い「鈴木」ゆかりの地・和歌山県海南市で既に進められている。9月には市の職員やブランドキャラクター「さのまる」が海南市役所を訪れ、両市が「名字ゆかりの地によるまちおこし」で連携していくことも決まった。佐野市の担当者は「海南市の取り組みも参考にしながら、全国の佐藤さんに『佐野市は自分とつながっている』と思ってもらえれば」と話している。

読売新聞 2019/10/05 05:00
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