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保健所といえば、行き場の無くなったわんこ達が、最終的に行き着く、
恐ろしい流刑地として、この世界に知られている。
集められたわんこ達は、一所に集められ、監禁され、最後の時を待つ。
大半は、引き取り手が見つからないから、処分され、その生涯を終える。
俺はいつもそれが狙いだ。
集められているわんこの、できるだけ引き取り手が見つからなそうな奴を全て、
ごっそり引き取って家に連れ帰る。
そして、帰宅後、俺一人のお世話が始まる。
俺は浴場で風呂を沸かし、浴場に連れてきたわんこをばら撒き、
ウォーッと叫びながら、わんこ達の体を撫で回す。
汚れたわんこは、獣の臭いがムンムン強烈で、俺の母性本能を刺激する。
浴槽の中のお湯は、もうすでに丁度いい温度になっている。
体毛の中に顔を埋める。臭ぇ。
獣臭、アンモニア臭や、捨て犬独特の酸っぱい臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
臭ぇぜ、ワッショイ! 撫で撫でワッショイ!と叫びながら、一匹ずつ優しく撫で回す。
嗅ぎ比べ、一番獣臭がキツイやつを最初に洗う。
そのハスキー犬には、汚物の染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
そのハスキー犬は、ハスキーブームの頃に飼われ、年老いて邪魔になり、捨てられた、
かわいそうなわんこなのだろうと、勝手に想像して、肩と頬に老いた顔を押し当て、
思いきり抱きしめながら、わんちゃん可哀想だぜ!俺が助けてやるぜ!と絶叫し、
背中をいっそう優しく撫でる。
他のわんこは、とりあえず適温になった湯の中で暖め、
可哀想なハスキー犬に湯をかけながら、ウオッ!ウオッ!とむせび泣きながら体を洗いまくる。
そろそろ食事だ。
俺はズンドウから餌を掬い、わんこ達の前に置いた皿の中に、思いっきり盛り付ける。
どうだ!旨いか!好きなだけ食べていいぜ!と叫びながら盛り付け続ける。
本当に美味しそうに食べてくれて、ムチャクチャ気持ち良い。
ズンドウの中の餌は、わんこの腹でベトベトに消化される。
わんこども、貴様等の命は預かったぜ!
食事が済んだあと、首輪を付け、柔らかな毛布の上で眠りに付かせる。
いつの日か、引き取り手が見つかるまで、一緒に暮らす。
世の中にはそんな可哀想なわんこが数え切れないほどいるんだぜ。